日本政府観光局(JNTO)が10月16日に発表したデータに基づいて、2024年7月〜9月の中国の海外旅行市場、インバウンド消費動向を合わせながら、catalyst-crossing編集部が訪日中国人の動向をご紹介いたします。
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I.訪日外国人のインバウンドデータと動向
1)訪日外国人旅行消費額(速報2024年7月〜9月):中国は圧倒的1位!
2024年7-9月期の訪日外国人旅行消費額は1兆9,480億円(2023年同期比41.1%増、2019
年同期比64.8%増)と推計されます。
国籍・地域別では、下記のような順になっており、中国は圧倒的 1位となりました。
中国が5,177億円(構成比26.6%)
台湾2,844億円(同14.6%)
韓国2,285億円(同11.7%)
米国1,860億円(同9.5%)
香港1,677億円(同8.6%)
2)訪日外国人旅行消費額(速報)
・費目別にみる訪日外国人旅行消費額
下記の図表から、費目別に訪日外国人旅行消費額の構成比をみると、宿泊費が33.7%と最も多く、次いで買物代(28.9%)、飲食費(21.9%)の順で多いとなりました。2023年同期と比べると買物代の構成比が増加したとみられます。
2024年7月-9月期(1次速報)の訪日外国人旅行消費額データによると、訪日中国人の消費額は全体の訪日外国人の旅行消費額のなかで26.6%占めており、2019年同期比5.2%増であり、2023年同期比87.1%増となっており、まだコロナ前により上回っていることが伺えます。
また、先月に発表した観光庁 宿泊旅行統計データによると、2024年7月の国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数は、第1位が中国でした。2019年同月比は7.0%減となり、2023年同月比は120.1%増となっていると分かりました。
上記のデータに基づいて、2024年の夏休み期間(7月〜8月)においては、中国からの訪日観光客数は新型コロナウイルス感染症の前(2019年)と比べてまだ回復していないが、消費額はすでに上回っているとみられます。
・訪日外国人1人当たり旅行支出
「日本政府観光局(JNTO)の訪日外国人消費動向調査 2024年(7〜9月速報)」によれば、訪日外国人(一般客)1人当たり旅行支出は22万3千円と推計されます。
国籍・地域別にみると、イタリア(40万円)、スペイン(38万3千円)、ロシア(35.2万円)の順で高いとなっています。費目別(全目的)では、宿泊費、飲食費、交通費はイタリア、娯楽等サービス費はロシア、買物代は中国が最も高いです。
3)訪日中国人の訪日データ
・訪日中国人の属性
2024年7〜9月の訪日中国人の年代別構成比においては、男性「20〜29歳」が15.2%、女性「20〜29歳」が16.1%で最も多いです。2024年4〜6月の訪日中国人の年代別構成比に比べ、男性の構成比の順は変わらず「30〜39歳」ですが、女性の構成比の順が元々の「30〜39歳」から「20〜29歳」に変わりました。ビザ申請緩和制度の影響や夏休み期間のため、中国人の訪日年齢層は若者になっていった傾向があるとうかがえます。
・訪日中国人の居住地
2024年7〜9月の訪日中国人の出身地の構成比においては、最も多いのが上海市約24.6%を占めており、続いて広東省(14.7%)、北京市(10.6%)、浙江省(9.8%)、その他(8.0%)を除き、江蘇省(7.4%)という順になっています。このデータに基づくと、日本に距離的に近い地域や経済が発展している地域が大半を占めているとうかがえます。それも訪日中国人の消費額がほかの国と地域と比べて、最も多く占めている理由だと考えられます。
・訪日回数
2024年7〜9月の訪日中国人の構成比においては、初回訪日が51.1%と半数以上を占めており、2024年4月〜6月と比べて初回の訪日中国観光客は11.4%増となり、初回訪日中国観光客が前期比よりかなり増加したとみられます。それは、7月から8月にかけては夏休み期間であり、ビザ緩和や円安並びにスクール休暇により、初めて日本を訪ねて観光することを選んだ中国ファミリーが多くなっていった理由だと考えられます。
・日本への主な来訪目的
「観光・レジャー」が全体の約87.5%超を占めているとみられます。7月から9月にかけて、家族旅行(47.8%)のほうが圧倒的な比率になっているとみられます。9月30日に観光庁が公表したデータから見ると、中国観光客は訪日の際に大都市で買い物や観光は主流であり、日本でしか体験できない独特な観光体験に対する興味を示していると分かりました。
・費目別旅行支出(1人1泊当たり)
中国人の1人1泊当たり旅行消費単価は(平均)30万円超であり、そのなかで「買い物代」が1人1泊当たり10万1千円超えとなり、旅行支出の約36.8%を占めています。
2024年4〜6月の訪日中国人の買物代額(1人1泊当たり13万8千円超)と比べてみて、1人1泊当たり3万7千円減となりましたが、ほかの国・地域からの訪日観光客の買い物代と比較してみて、訪日中国観光客の購買力は依然として旺盛であることがうかがえます。
・購入実態
訪日中国観光客の費目別の購入率から見てみると、「お菓子」が69.1%、「化粧品・香水」が55.2%、「衣類」が44.2%という順になっています。
「お菓子」の割合が最も高い理由としては、7月〜9月はスクール休暇による、家族旅行で訪日中国観光客が多くなり、観光客の中に子供の比率も比較的高いため、お菓子を購入することが多くなったと予測されます。また、中国の若者は訪日観光客の中でかなりの数を占めているため、良質な日本の「化粧品・香水」や「衣類」を購入することが日本旅行の一つのメインの目的だと考えられます。
Ⅱ.中国の海外旅行市場について
日本政府観光局(JNTO)が発表したデータによると、7月の訪日外国人は329万2,500人であり、2024年8月の訪日外国人数は293万3,000人に達しています。2024年9月の訪日外客数は287万2,200 人で、前年同月⽐では 31.5%増となり、2019年同月⽐では 26.4%増となり、8か月連続で同月過去最高を記録しました。
そのデータによると、2024年9月に中国は65万2,300 人(前年同月比 100.3%増)に達しました。そこは、台風 13 号の影響による航空便の欠航があったものの、地方路線を含む増便や中秋節や国慶節等の影響もあり、訪日外客数は前年同月を上回ったことがうかがえます。
さらに、中国大連〜成田間の増便、杭州〜日本中部間の増便、上海〜福岡間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月を上回っていることは、訪日中国人はこれからさらに増加していくと思われます。これからは、涼しい季節になっていき、紅葉やスキーの季節を迎え、ますます訪日観光客が増えていくと予測でき、2024年第4期(10月‐12月)における記録的な訪日観光客の消費額を期待しましょう。
参考資料:
インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)2024年7月‐9月
【観光庁 宿泊旅行統計】(2024年7月・8月)外国人延べ宿泊者数は1位中国
日本政府観光局(JNTO):宿泊旅行統計調査(2024年7月・第2次速報、2024年8月・第1次速報)
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