急成長する中国のウインタースポーツ市場の分析

急成長する中国のウインタースポーツ市場の分析

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中国ウインタースポーツ市場は、「最後の巨大市場」と呼ぶにふさわしい成長を遂げています。地理的な近さや文化的な親和性を強みに、日本企業がこの成長市場でどのように活躍していくのか、今後の展開が注目されています。

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1.中国のウインタースポーツの市場

中国のウインタースポーツ市場が急成長を遂げています。2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピック開催を契機に、ウインタースポーツへの関心が爆発的に高まり、市場規模は急速に拡大しています。国家体育総局の発表によると、2023〜2024年シーズンの中国におけるウインタースポーツの競技人口は5,735万人に達し、年々増加傾向にあります。

中国政府は「ウインタースポーツ発展規画(2016〜2025年)」を策定し、2025年までにウインタースポーツの市場規模を1兆元(約21兆円)に引き上げる目標を掲げています。特に東北地方、華北地方、西北地方においてスキー場での競技やイベントの実施、ウインタースポーツ旅行などを強化する方針です。

中国旅行研究院の「2024 中国氷雪観光開発レポート」によれば、2023年に発表された主な氷雪観光プロジェクトへの総投資額は1,220億元に達し、前年比10.9%の成長を示しています。特に1980年代生まれ、1990年代生まれの消費者がウインタースポーツ人気の主な原動力となっており、南方出身の人々が北方地方のスキーリゾートを訪れるケースが増加しています。

スキー産業に注目すると、中国全体のスキー場数は2023年に697カ所に達し、前年から5カ所増加しました。2022年のスキー場来場者数は2,154万人と過去最高を記録しています。地域別では、黒龍江省、新疆ウイグル自治区、河北省が上位3位を占め、東北地方が全体の約3割を占めています。

注目すべきは、中国の室内スキー場の多さです。国内の室内スキー場は50カ所を超えており、年間を通じてスキーを楽しむことができる環境が整っています。2024年9月には上海市に世界最大規模の室内スキー場がオープンし、さらなる市場拡大が期待されています。

2.中国人のウインタースポーツ用品の市場成長

中国ウインタースポーツ市場規模も急拡大しており、2020年に6,000億元(約12兆6,000億円)だったウインタースポーツの市場規模は、2025年には1兆元(約21兆円)に達すると予測されています。特に東北地方、華北地方、西北地方では、スキー場での競技やイベントの実施、ウインタースポーツ旅行などが強化されており、地域経済の新たな成長エンジンとして期待されています。

ジェトロの調査データによると、ウインタースポーツ用品の購入を決める要素として、ブランド(回答率68%)、機能(61%)、価格(45.6%)が上位を占めています。購入チャネルとしては、ECプラットフォームの淘宝(タオバオ)が61.6%と最も高く、次いでリアル店舗(37.6%)、天猫(Tmall)(33.6%)となっています。

中国政府は氷雪経済の更なる発展を目指し、2024年11月に「ウインタースポーツの質の高い発展による氷雪経済の活性化に関する若干の意見」を発表しました。この方針では、2027年までに氷雪経済の規模を1兆2,000億元、2030年までには1兆5,000億元にすることを目指しています。

さらに、2024年12月には東北地域に特化した「東北地域における氷雪経済の質の高い発展を促進し、全面振興の新たな躍進の実現を支援する実施方案」が発表されました。これにより、東北地域を中国における氷雪経済の発展先進地域に整備すると同時に、世界級の氷雪名勝地として発展させることを目指しています。

このように、中国のウインタースポーツ市場は政府の強力な後押しと消費者の関心を背景に、急速に発展しています。日本をはじめとする海外のウインタースポーツ関連企業にとって、中国市場は大きなビジネスチャンスとなっています。今後も市場の動向に注目が集まることでしょう。

3.中国におけるウインタースポーツの消費者動向

中国のウインタースポーツ市場が急成長を遂げています。2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、ウインタースポーツの人気が爆発的に高まり、関連産業が大きく発展しています。

国家体育総局の発表内容によると、2023〜2024年シーズンの中国におけるウインタースポーツ(スキー・スノーボード、スケート、アイスホッケーなど)の競技人口は5,735万人に達しました。これは年々増加傾向にあり、中国政府の積極的な推進策が功を奏していると言えます。

消費者層を見ると、1980年代生まれ、1990年代生まれの若い世代が主な牽引役となっています。興味深いのは、南方出身の人々が北方地方のスキーリゾートを訪れるケースが多いという点です。これは、ウインタースポーツが新しい旅行スタイルとして定着しつつあることを示しています。

消費行動においても興味深い傾向が見られます。iiMedia Research(艾媒咨询)の調査データによると、ウインタースポーツ愛好者の61.54%が装備を購入する一方で、38.46%がレンタルを選択しています。これは、初心者や occasional な参加者にとって、レンタルサービスが参入障壁を下げる重要な役割を果たしていることを示しています。

施設面では、2023年時点で中国全土に697カ所のスキー場があり、その数は年々増加しています。50カ所以上の室内スキー場があり、北方でも南方でも一年中スキーを楽しめる環境が整っています。2024年9月には上海市に世界最大規模の室内スキー場がオープンするなど、さらなる拡大が見込まれています。

このような急成長市場において、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスが存在します。日本の高品質なウインタースポーツ用品や、豊富な経験に基づくサービスノウハウは、品質と機能性を重視する中国の消費者にとって魅力的です。特に、スキー初中級者向けの製品やサービス、家族連れや女性客をターゲットにしたオファリングなどに、大きな可能性があると言えるでしょう。

中国政府は2030年までに氷雪経済の規模を1兆5,000億元にすることを目指しており、今後もウインタースポーツ市場の拡大が続くと予想されます。この成長市場で成功を収めるためには、中国消費者の嗜好や行動パターンを深く理解し、適切なマーケティング戦略を展開することが重要です。日本企業には、その高い技術力と豊富な経験を活かし、中国のウインタースポーツ市場で存在感を示していくことが期待されています。

4.急速成長の中国のウインタースポーツ市場で日本ブランドの強みを活かす

中国のウインタースポーツ市場が急成長を遂げる中、日本ブランドのウインタースポーツ用品にも大きな商機が訪れています。ジェトロが2024年2月下旬に吉林省で実施したテストマーケティング事業から、中国消費者の日本製品に対する評価や購買動向が明らかになりました。

この事業は、スキー初中級者に人気のある吉林市松花湖スキーリゾートで行われ、家族連れや女性客を中心とする来場者から貴重なフィードバックを得ることができました。アンケート結果によると、ウインタースポーツ用品の購入を決める要素として、ブランド(68%)、機能(61%)、価格(45.6%)の順に重視されていることが判明しました。

日本ブランドは高品質と機能性で知られており、これらの要素は中国消費者の重視点と合致しています。特に、スキーやスノーボードといった専門性の高い分野では、日本製品の技術力や品質の高さが評価されています。購入チャネルについては、オンラインプラットフォームが主流となっており、タオバオ(61.6%)、天猫(Tmall)(33.6%)といったECサイトが上位を占めています。

一方で、リアル店舗での購入も37.6%と一定のシェアを保っており、高級品や専門的な製品については、実際に手に取って確認したいというニーズも存在します。来場者層は20〜40代が中心で、家族や友人と訪れる人が多いという特徴が見られました。このことから、日本ブランドは家族向けの商品ラインナップや、友人同士で楽しめるようなマーケティング戦略を展開することで、より多くの消費者にアピールできる可能性があります。

中国のウインタースポーツ市場は急速に拡大しており、2025年には1兆元(約21兆円)規模に達すると予測されています。この成長市場において、日本ブランドの強みを活かすためには、以下のような戦略が考えられます:

・高品質・高機能を前面に押し出したブランディング

・中国の EC プラットフォームでの積極的な展開

・現地の気候や地形に適した製品開発

・中国のインフルエンサーやKOLを活用したマーケティング

・体験型イベントの開催による製品の魅力訴求

日本のウインタースポーツ用品メーカーにとって、中国市場は大きなチャンスの宝庫となっています。地理的近さや文化的親和性を活かし、中国消費者のニーズに合わせた戦略を展開することで、この巨大市場でのシェア拡大が期待できるでしょう。</p><p>中国のウインタースポーツ市場が急成長を遂げている中、政府は氷雪経済の発展を強力に後押ししています。本記事では、中国のウインタースポーツ産業の現状と将来性、そして日本企業にとってのビジネスチャンスについてまとめます。

1)ウインタースポーツ産業の多様化

中国のウインタースポーツ産業は、単なるスキー場やスケートリンクの整備にとどまらず、多岐にわたる分野で発展しています:

・観光:氷雪をテーマとするリゾート地の建設、他地域からの観光客誘致

・スポーツ:国際大会の誘致・開催、学校教育への導入

・カルチャー:氷雪をテーマとするイベントの実施、文化作品の創出

・設備産業:造雪機、圧雪車、製氷機などのコア設備の研究開発・製造

2)ウインタースポーツは日本企業にとって、ビジネスチャンス

急成長する中国ウインタースポーツ市場は、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスとなっています。ジェトロが2024年2月に東北地方の吉林省で実施したテストマーケティング事業では、以下のような興味深い結果が得られました:

・ウインタースポーツ用品の購入決定要素:1位ブランド(68%)、2位機能(61%)、3位価格(45.6%)

・購入チャネル:1位淘宝(61.6%)、2位リアル店舗(37.6%)、3位天猫(33.6%)

・主要顧客層:20〜40代が中心

日本は長年培ってきたウインタースポーツ技術や高品質な製品で知られています。ブランド力と機能性を重視する中国消費者のニーズに合致する日本製品には、大きな可能性があるといえるでしょう。

5.中国人が国内外旅行に行く際にウインタースポーツ分析

中国人の国内外旅行におけるウインタースポーツ人気が急上昇しています。2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピック開催を契機に、中国国内でのウインタースポーツ市場が急成長を遂げましたが、その熱は海外旅行にも波及しています。

中国旅遊研究院の「2024 中国氷雪観光開発レポート」によると、特に1980年代、1990年代生まれの消費者がウインタースポーツ人気の主な原動力となっています。この世代は、海外旅行への意欲が高く、新しい体験を求める傾向が強いため、海外でのウインタースポーツに大きな関心を寄せています。

・外国語対応とキャッシュレス

海外のスキーリゾートでは、中国からの観光客の増加に対応するため、中国語対応スタッフの配置や、中国の決済システム(WeChat Pay、Alipayなど)の導入を進めています。日本の北海道や長野県、ヨーロッパアルプスの有名リゾート、さらには北米のスキー場など、世界各地のウインタースポーツ地域が中国人観光客の誘致に力を入れています。

・旅行体験重視

中国人観光客の間で人気が高まっているのが、ウインタースポーツと組み合わせた文化体験や自然体験です。例えば、北欧諸国ではオーロラ鑑賞とスキーを組み合わせたツアーが人気を集めています。日本では温泉とスキーを楽しむパッケージが好評です。このような複合的な体験を提供することで、海外のスキーリゾートは中国人観光客の長期滞在や再訪を促しています。

中国政府も、国民の海外ウインタースポーツ体験を奨励しています。「東北地域における氷雪経済の質の高い発展を促進し、全面振興の新たな躍進の実現を支援する実施方案」では、海外の氷雪経済の先進的な理念、開発モデル、管理ノウハウを学習・参考にすることを推奨しています。これにより、中国人の海外ウインタースポーツ旅行はさらに活発化すると予想されます。

・中国のウインタースポーツ市場への展望と課題

海外旅行でのウインタースポーツ体験には課題もあります。言語の壁や文化の違い、高額な費用などが障壁となっています。これらの課題に対応するため、中国の旅行会社は専門のガイドを同行させたり、事前のレッスンプログラムを提供したりするなど、きめ細かいサービスを展開しています。中国人観光客の特徴として、高級リゾートでの滞在を好む傾向があります。スキーやスノーボードだけでなく、温泉、グルメ、ショッピングなど、総合的な体験を求める傾向が強いのです。このため、海外のスキーリゾートは、中国人観光客向けに高級宿泊施設の整備や、中国料理レストランの併設、高級ブランドショップの誘致など、多角的なサービス展開を行っています。

今後、中国人の海外ウインタースポーツ旅行市場はさらなる成長が見込まれます。世界各国のスキーリゾートにとって、この成長市場を取り込むことが重要な戦略となっていくでしょう。中国人観光客のニーズを的確に捉え、文化や言語の壁を越えた魅力的な体験を提供できるリゾートが、競争力を高めていくことになるでしょう。

6.まとめ

中国政府は国際交流・連携の強化にも力を入れており、海外の先進的な理念やノウハウを積極的に取り入れる姿勢を示しています。日本企業にとっては、単に製品を販売するだけでなく、ウインタースポーツの指導者育成や施設運営ノウハウの提供など、幅広い分野での協力が期待されます。

一方で、急速な市場拡大に伴い、環境への配慮や安全性の確保、地域社会との共生など、持続可能な発展に向けた課題も浮き彫りになっています。日本の経験を活かしたソリューション提供も、ビジネスチャンスとなるでしょう。

中国ウインタースポーツ市場は、まさに「最後の巨大市場」と呼ぶにふさわしい成長を遂げています。地理的な近さや文化的な親和性を強みに、日本企業がこの成長市場でどのように活躍していくのか、今後の展開が注目されます。

参考資料:

中国、2030年までに氷雪経済の規模を1兆5,000億元へ

成長を続ける中国ウインタースポーツ市場の今

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東北地域を氷雪経済の先進発展地域に、中国政府が指針発表

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