報告書では子育てが女性の仕事に与える影響についても触れている。女性の仕事に関わる時間は子供が4歳になる前までには減少傾向となる。ただし、男性の仕事に関して顕著な変化は見られない。各省における父親の産休が女性と比較して少ないことが要因である。中国における少子化議論の今後の展開によっては男性の育児休暇取得ももちろん議題にあがり、両親参加が基本となる子育ても文化にも大きな変化が生まれるかもしれない。
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UnsplashのSven Brandsmaが撮影した写真
1.中国における子育て費用
中国のシンクタンク・育媧(おんなへんに咼)人口研究から中国の子育てにかかる費用が報告された。
これは「中国統計年鑑」2023年のデータを元に算出されたものである。
中国全国における子育てで0-17歳までの子育てにかかる費用は平均で53.8万限(約1,099万円)、また大学本科生卒業までにかかる費用は平均で68万元(約1,390万)となった。
この数字は出産費用等の準備段階からかかるコストを全て計算した数字である。
またこれは全国の数値となるが、中国においては都市のランクによって医療費や教育費等も大きく異なる。
報告書では、一級都市と呼ばれる上海、北京ではそれぞれ101万元(約2,000万円)、93.6万元(約1,910万円)であるが、地方都市である西蔵、青海ではそれぞれ34.9万元(約714万円)、37,9万元(約776万円)と大きな差があることも報告されている。
UnsplashのSandy Millarが撮影した写真
2.子育てにおける女性の仕事への影響
報告書では子育てが女性の仕事に与える影響についても触れている。
女性の仕事に関わる時間は子供が4歳になる前までには減少傾向となる。ただし男性の仕事に関して顕著な変化は見られない。
これは各省における父親の産休が女性と比較して少ないことが要因である。
現在、北京や上海では女性の産休期間が約158日、他の省でも2、3人目の子供を出産する場合には188日間の産休が取れるようになっている。
これは各省により個別で決定されるので全国平均の産休は約98日間となる。
少子化対策によりここ数年産休が拡充されているものの、それと同時に企業が女性の雇用をためらうのではないか、ということも疑問視されており、中国でも大きな議論となっている。
ちなみに男性の育児休暇については上海、浙江省で10日、15日となっており、また北京では男性が育児休暇を延長する場合には母親の産休から日数分を差し引く等の調整も可能となっている。
UnsplashのTanaphong Toochindaが撮影した写真
3.大学卒業では終わらない中国の子育て
中国における子育てにかかる費用、また産休の問題点については日本と概ね差はないように見える。
ただし、中国の子育てはここから最もお金がかかると言っても過言ではない。それは結婚の際には親が子供夫婦の家や車の購入をサポートするという文化である。
もちろん家庭の状況や、子供が男か女かによってもサポート内容は変わるものの、男の場合は結婚するのに家があるか否かで大きな差となるため親の援助無しということは都市はもとより、地方でもほとんどない。
また結婚後、さらに孫が生まれた場合にはその孫の面倒を見る、という子育てパート2が始まる。もちろん別の省に住んでいる場合は物理的にできないこともあるが、基本的には孫の面倒を見るのはおじいちゃん、おばあちゃんとなる。これは日本と大きく変わる点であり、実際の中国の子育てコストは更なる負担が存在している。
UnsplashのEric Prouzetが撮影した写真
4.まとめ
現在、日本を含めて一部の国では大幅な少子高齢化が進んでおり、ここ中国でも同様である。
この報告書では女性が子供を産まない理由として「経済的な負担(77.4%)」が1位、「面倒を見てくれる人がいない(33.2%)」と3位となっている。
中国における少子化議論の今後の展開によっては男性の育児休暇取得ももちろん議題にあがり、両親参加が基本となる子育ても文化にも大きな変化が生まれるかもしれない。
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