中国飲食┃「中華系ファーストフードの第一株」争いの決着は未定、IPO競争激化が続く

中国飲食┃「中華系ファーストフードの第一株」争いの決着は未定、IPO競争激化が続く

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中華系ファーストフードブランドである「老娘舅」が上場計画を中止し、中華系ファーストフードのIPO競争は続いています。同様に、「老鄉雞」も2023年8月に上海証券取引所の上場プロセスを中止しました。「鄉村基」は香港証券取引所に3回IPO申請を行っており、現在は申請の進捗が更新されていません。IPOプロセスの厳格化や企業の実力証明の必要性が高まり、中華系ファーストフード企業は資本市場での競争に苦しんでいます。catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。

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「老娘舅」も「IPO」(Initial Public Offering,新規上場)の計画を中止しました。

2023年11月13日、上海証券取引所の公式ウェブサイトによれば、「老娘舅餐飲株式有限公司」(以下「老娘舅」)の上場プロセスが終了したことが明らかになりました。

ここ数年、「中華系ファーストフードの一員」として「IPO」を目指す道のりで、上場計画を「撤回」したのは「老娘舅」だけではありません。

2023年8月末、中華系ファーストフードブランドである「老鄉雞」は上海証券取引所への新規上場申請書を取り下げ、一年以上にわたる上場プロセスが終了となりました。

現在、「中華系ファーストフードの第一株」のブランドを争っているのは、香港証券取引所に3回申請書を提出していた「鄉村基」だけです。ただし、「鄉村基」は2022年4月6日に香港証券取引所のメインボードに新規上場申請が再び提出され、今日まで情報が更新されていないです。

そして、香港証券取引所のIPOプロセスによれば、6ヶ月以内に審査を通過しない場合は、IPOの再申請の必要があります。現在、鄉村基の「6ヶ月の期限」が迫っています。

2022年からは、飲食業界において、IPOブームが再び巻き起こりました。

その中、中華系ファーストフードセクターの参加企業が最も多い中、「老娘舅」、「老鄉雞」、「鄉村基」などが順次にIPO申請のことを発表し、「中華系ファーストフードの第一株」の座を争っています。

ただし、今見ると、資本市場は中華系ファーストフード企業の「約束の地」ではないようです。

「中華系ファーストフードの第一株」がなかなか出ない背後には、政策変更による影響だけでなく、飲食業界自身の性質の制約もあり、さらに、各企業自らのビジネスモデルや業績などにも密接に関係しています。

「菁财资本」の創業者である葛贤通氏によれば、飲食企業の上場が難しい原因は、現時点の新規上場政策が厳しいだけでなく、中国の飲食企業の発展の歴史はそれほど長くないことです。多くの企業は「大きくても強くない」か、あるいは地域に制約されています。中国飲食業界の多くの企業は、内部統制や規範に対する強化が必要です。

「過去にA株市場(上海証券取引所で取引)に上場していた飲食企業はほとんどなく、香港市場の方が比較的多かったです。振り返れば、これまで上場した飲食企業の中で、長期的にわたって良いパフォーマンスの持つ飲食株は限られており、これは監督審査部門が飲食企業の上場に対する懸念を深めています。」と葛贤通氏は述べました。

各企業の目論見書の公開とともに、中華系ファーストフード企業の「弱点」も明らかになっています。

例えば、「老娘舅」、「老鄉雞」、「鄉村基」はいずれも「店舗はある地域で過度に集中し、収益化能力が疑わしい」とされています。

現在、「老娘舅」の店舗総数は391店ですが、そのほとんどが浙江、上海、江蘇、安徽の4つの省/直轄市に分布しています。「老鄉雞」の店舗数はすでに1,000店を超えていますが、8つの都市にしか広がっておらず、ほとんどの新規店舗は依然として安徽省内で展開しています。「鄉村基」のほとんどは、重慶と四川にあります。

目論見書によれば、「老娘舅」は自らのビジネスモデルによる低い粗利益率と、同業他社に比べて収益化能力が低い状況が明らかになっています。

数年にわたる波瀾万丈の「中華系ファーストフードの第一株」の争いはまだ続いています。

「鄉村基」は香港市場でまだ「上場待ち」の段階にあり、報道によれば、「老娘舅」の内部ではまだ「2025年までに上場を達成する」目標に向けて努力が続いているとのことです。

しかし、市場は厳しいものであり、各企業が「中華系ファーストフード第一株」を獲得できるかどうか、人々はすでに期待の目で待っています。

01「地域限定から抜け出せない?」

浙江省湖州市の大学生の星星は、「老娘舅」の常連で、彼女は自分が「舅門」の一員であると語っています。

「月間フリーパスを購入すると、金曜日の夜にメンバーイベントが楽しめ、セットメニューは半額で、一食が野菜と肉で15元程度になります。普段はいくつかの料理を単品で注文し、学生としても受け入れられます。」と星星は説明し、「コスパや味が良いだけでなく、「老娘舅」は学校の中にあるので、食事も比較的便利です。」と語っています。

浙江省在住の图图(トゥトゥ)も、「老娘舅」の料理は「江浙出身の舌」に合っていると述べ、「会社の同僚が団体で外食するとき、よく「老娘舅」を注文し、手ごろだと感じています。」と話しています。

上記の2人が述べたように、中華系ファーストフードの「老娘舅」は、「江南の味」を特徴とし、定食セットを代表料理とするメニューも大衆消費者に提供することで、一部の消費者を魅了することに成功しています。

しかし、「舅門」だけでは、老娘舅のIPO申請を支えるのは難しいようです。

公開された目論見書によると、2019年から2021年まで、老娘舅の売上高はそれぞれ12.22億元、12.07億元、15.25億元で、親会社の純利益はそれぞれ6,517.46万元、2,070.75万元、6,299.22万元でした。

売上総利益の面でも、「老娘舅」はビジネスモデルが未熟とされています。目論見書によれば、2019年から2021年までの老娘舅の総合売上総利益率はそれぞれ17.76%、14.58%、16.40%であり、2022年6月までには12.32%に低下しています。同業他社の「西安饮食」、「同庆楼」、「老郷鶏」などと比較しても、老娘舅の売上総利益率は他社に比べて明らかに劣っています。

定食の価格が一般の人々に手頃である他、店舗の家賃や給与などのコストが高いことや会社の営業コストには配達サービスに関連する配達員の給料も含まれていることなどによって、「老娘舅」は売上総利益低下の問題を直面しています。

ただし、短期間で老娘舅がコストを削減し、売上総利益を向上させるのは困難です。原材料コスト、人件費、家賃など、これらの「三つの大きな山」を削減する余地を見つけるには、引き続き慎重な計画が必要です。

市場を疑念に駆り立てるのは、「老娘舅」がなかなか「コンフォートゾーン」から抜け出せないように思えるからです。

目論見書によれば、2022年上半期までに老娘舅の店舗総数は391店で、2019年の295店から96店増加しており、店舗の多くは浙江、上海、江蘇、安徽の4つの省/直轄市のコミュニティビジネスセンター、ビジネスセンター、および交通ハブ周辺にあります。その中で、江蘇、浙江、上海の店舗以外に、「老娘舅」は安徽に6つの店舗しかありません。

「長三角地域以外で出店できない」に類似している問題は、IPOを終了した「老郷鶏」にも存在します。「老郷鶏」の店舗数は既に1,000店を超えていますが、店舗は8つの都市にしか広がっておらず、ほとんどの新規店舗は依然として安徽省内にあり、「地域の拘束から抜け出すのが難しい」と社会から非難されています。

さらに、「老郷鶏」のIPO過程で、「社員の福祉保障の問題」で論争の的になりました。報道によれば、2022年6月までの3年間で、「老郷鶏」は約1.6万人の従業員が社会保険を支払っていないということです。中国証券監督管理委員会は「老郷鶏」の新規上場申請書類に対するフィードバックで、「実質支配者への贈賄、食品安全、関連取引、労働者の使用など、多くの問題が存在しています」と説明しました。

香港市場で「風を切って進む」鄉村基も同様の状況です。すでに香港証券取引所に上場申請書を3回も提出していた鄉村基は、不動産などの「ヘビーアセット」が全部本社購入というビジネスモデルに低単価のため、外部から「経営の負担が重い」と非難され続けています。また、2020年の「鄉村基」が「242.4万元の損失」を出したという純利益のデータは、同年に同業他社の「老郷鶏」や「老娘舅」が逆境にある中でも利益を上げ続けていたことと比べ、「鄉村基」の収益化能力不足に関する議論も頻発しています。

02.「中華系ファーストフードの第一株」の争いでは一体誰が勝てるか

2022年以来、飲食業界において上場ブームが再び巻き起こり、これに伴い、多くの企業が上場を目指しています。今回の上場ブームでは、さまざまな企業が参入し、多くのブランドが上場を果たしていました。火鍋ブランドの「捞王」と「七欣天」が順次に新規上場を申請し、カジュアルダイニングブランドの「绿茶餐厅」も目論見書を発表しました。ドミノピザの中国本土および香港・マカオ地域の独占的な総特許業者である「达势股份」もIPOを目指しています。また、麻辣麺ブランド「杨国福」も上場を目指しています。

中でも、中華系ファーストフード分野の参入する企業が最も多いです。「老娘舅」だけでなく、「老郷鶏」や「鄉村基」など、数多くの中華系ファーストフードが新規上場申請を宣言し、「中華系ファーストフードの第一株」の座を争っています。

IPOに夢中になっている飲食企業に対して、葛賢通氏は、「客観的に見れば、多くの飲食企業の事業規模が十分に大きく、収益が見込めるため、上場基準に合致しています。主観的には、飲食業界の競争が激化しており、企業が競争での優位を築くためには、上場は非常に良い手段といえます。特に競合他社がすでに上場している場合、自社の上場もより緊急なものとなります」と分析しています。

飲食企業の資本化が急速に進んでいる別の理由は、「外部環境の急激な変化」です。

2020年以前、多くの飲食企業はキャッシュフローを拡大させ、その時、資金調達も比較的容易で、金融市場のリスクも低かったため、資本市場に対する関心は低かったです。

しかし、2020年以降、コロナ禍などの外部環境の影響を受けて、飲食企業のキャッシュフローが圧迫され、リスク耐性が不確かな中、飲食業界はさらなる発展のため資本の重要性を再認識しました。上場は「難局を乗り越える」手段の一つともなりました。

その代表的な企業の一つが「西贝」です。

報道によれば、2020年2月、「外部環境の急激な変化」による影響を受け、西贝の創業者である贾国龙氏は初めて外部に助けを求め、「当時、事業が正常に行えないし、口座の残高はわずか3か月の企業運営すら支えることができませんでした。」と述べました。

そして2023年の新年挨拶では、贾国龙氏は3年後に新規上場を達成する計画を発表しました。これまでに西贝は「弊社運営については資金まだ不足しておらず、永遠に上場しないつもりです」と公言していた代表的な飲食企業の一つでした。

2022年12月13日、飲食業界の交流会で、西贝の副総裁である宋宣氏は時代週報の取材に応じ、「現時点では、確かに西贝も資金調達の困難に直面したことがあり、これは企業が資本に対する見方を変えた原因の一つです。しかし、より重要なのは西贝が自らにより高い要求をかけ、将来的にはサプライチェーン、物流、店舗などでより優れた仕事をし、確かにもっとお金が必要だと考えていることです。」と語りました。

飲食業界の上場ブームの中、「老娘舅」、「老郷鶏」、「鄉村基」も次々と「中華系ファーストフードの第一株」の達成に挑戦しています。

最初に行動したのは「鄉村基」でした。

データによれば、2022年1月、中華系ファーストフードブランドである「鄉村基」と「大米先生」の親会社である「鄉村基」は香港証券取引所に上場を申請しました。

ただし、注目すべきは、これが「鄉村基」にとって資本市場への挑戦が初めてではないということです。公開資料によれば、「鄉村基」は2010年9月に米国ニューヨーク証券取引所に上場したことがあり、しかし2016年には様々な理由から同証券取引所から非上場に戻りました。6年の歳月を経て、「鄉村基」が再びIPOに挑戦しています。

03. 飲食企業の転機はいつ訪れるでしょうか

「中華系ファーストフードの第一株」の争いの勝者は理想的ではあるが、IPOの結果は極めて現実的なものとなっています。

2023年8月、「老郷鶏」は新規上場申請を取り下げ、1年以上にわたる「上場待ち」のプロセスを終了させました。その2か月後、2023年11月、「老娘舅」も新規上場の申請を取り下げました。

今年10月、「贝多财经」の報道によると、「鄉村基」は香港証券取引所に提出した上場申請書の資料が再び「無効」となり、正常に表示またはダウンロードできなくなったと報告されています。

三度目の香港証券取引所上場を目指す「鄉村基」の「IPOの道」も不確かなものとなりました。

上海証券取引所でのIPOは一時的に引き締められたことにつれ、「中式ファーストフードの第一株」の決着をつけることは難しくなりました。

2023年2月17日、中国証券管理委員会は「株式発行登録制に関する総合的規則」を発表し、4月10日、登録制が公表された後上場した最初の10社がメインボードで取引を開始した。これにより、中国の資本市場は正式に「全面的登録制」の時代を迎えた。その後、上海証券取引所でのIPOはさらに引き締まりました。

飲食・食品業界に長く関心を寄せている投資家は、「昨年から今年にかけてのIPOの全体的なフィードバックを見ると、上海証券取引所での上場が難しくなり、これが多くのブランドが香港証券取引所に転戦する理由の一つでもある」と述べています。

さまざまな要因が重なる中で、現在、香港証券取引所での上場の難しさも増しています。アーンスト・アンド・ヤングの発表した「2023中国内地と香港のIPO市場の報告と展望」によると、2023年全体で香港株市場には61社の新規上場が予測されており、前年比で19%減少しました。資金調達額は413億香港ドルで、前年比で59%減少しています。

一方で、餐饮企业自体の収益性も疑問視されています。

目論見書から見ると、上場を目指している飲食業界の各企業の収益化能力は安定していません。「鄉村基」は以前にも新規上場申請を香港証券取引所に2回提出し、最終的には業績の不安定さから成功しなかったということです。

目論見書のデータによると、2019年から2022年まで、「鄉村基」の売上高はそれぞれ32.57億元、31.61億元、46.18億元、47.06億元で、純利益はそれぞれ8,270.2万元、-242.4万元、1.09億元、3,083.8万元でした。

「中式ファーストフードの第一株」の争いはますます複雑になっています。

「老郷鶏」が8月に上場申請を取り下げた後、消息筋によれば、「老郷鶏」は10月末に上海証券取引所での新規上場に敗れた後、最速で11月に香港証券取引所に株式公開上場申請書を提出し、香港証券取引所での上場に転進すると報じられました。しかし、その後、「新浪财经」などのメディアが「老郷鶏」側の回答を引用し、「香港証券取引所での上場は虚報」と報じられました。

「贝多财经」が乡村基の目論見書が「失効」になったと報じた際も、「3か月以内に最新の財務情報を提出すれば、上場プロセスを継続できる」と述べています。

「中国全土への出店」は容易なことではなく、「老娘舅」も「未来は長三角を拠点とし、全国を見据え、持続的に店舗拡大していく予定です」と目論見書で述べています。

「老郷鶏」も目論見書で、今後3年以内に上海、南京、苏州、深圳、北京、武汉、杭州、合肥、芜湖、六安などの10の重要都市で直営店舗700店の新規開設計画を明記しています。

ただし、「長三角以外の地域での事業拡大の能力は、さらなる検証が必要である」と「老娘舅」も認めています。

「中華系ファーストフードの第一株」の争いはまだ続いています。しかし、資本市場は寛容ではなく、「老娘舅」のような企業も自社の実力を証明するためには一層の努力が必要です。これは容易な「戦い」ではありません。


元記事: 谁还在冲击“中式快餐第一股”?

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