上海証券取引所の公開資料によりますと、 毛戈平化妝品股份有限公司 (Mao Geping Cosmetics CO.,LTD)の上場プロセスが中止となりした。本文は、化粧師の毛戈平が創立し、中国国産化粧品ブランドの中で最初に登場した一つである毛戈平社について紹介致します。catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。
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手続きが7年間も続いた「毛戈平」の上場プロセスは先日中止したことがわかりました。
上海証券取引所の公開資料によりますと、 毛戈平化妝品股份有限公司 (Mao Geping Cosmetics CO.,LTD)の上場プロセスが中止となりした。
毛戈平社の上場への道は、多くの挫折を経験してきました。早くも2016年には、毛戈平は目論見書を提出し、「A股化粧品第一股」の地位を目指しました。2017年には、毛戈平のIPO資料が事前公開の更新状態にありましたが、その後、新しい情報は出てきませんでした。
2023年3月、毛戈平社は再び目論見書を更新し、上場プロセスを再開しましたが、9月には財務データの期限切れで立ち往生しました。2024年の新年を迎える際、毛戈平社はついに上場申請を取り下げ、上場の夢は再び潰えました。多くの失敗を経験したことから、インターネットユーザーからは毛戈平が「IPOの試金石」と呼ばれることもあります。
実際、毛戈平社は国産化粧品ブランドの中で最初に登場した一つであり、消費者の認知は創業者である毛戈平氏の影響力によって構築されています。卓越した化粧技術により、毛戈平氏は一躍、広く知られるトップメイクアップアーティストとなりました。
このため、毛戈平氏が創設した同名ブランド「MAOGEPING」(MGP)は、生まれた時から強力な「インターネットの人気属性」と「流量基盤」を備えています。「MAOGEPING」は2020年から2021年までの間に売上高が77.98%増加し、収益が69.34%増加し、業界内で逆転のブラックホースとなりました。さらに、2022年には1.68億の売上高を達成し、総利益率が3年連続で80%を超え、ロレアル、資生堂などの海外化粧品大手もかないませんでした。
しかし、その一方で、毛戈平社に対する論争も少なくありません。
国産化粧品業界の「マーケティングを重視し、研究開発を軽視する」風潮は、毛戈平社にとって特に顕著であり、毛戈平社は独自の生産ラインを持っておらず、製品は主に外部工場に委託されていますが、国際大手ブランドにほぼ同様の価格で販売されており、これらの矛盾点により、毛戈平社の製品評価は「二極化」しています。
表面的には静かに見えますが、実際には暗流が渦巻いています。数々の女性によって「崇拝」されてきた毛戈平社製の化粧品は、避けられない「分岐点」に至っています。
一、「ゼロから」立ち上げた化粧品帝国
「整形なんか必要はないでしょう、自分の頭を毛戈平先生に郵送すればいいじゃん?」
化粧師の毛戈平から、美容ブランドの毛戈平まで、今日、「毛戈平」という3つ文字は個人の範疇を超え、中国化粧品業界のIPシンボルとなりました。
現在中国の化粧師の象徴的な人物として、一般人が知らない有名になった経緯は、実は半分偶然です。13歳の時、6年間の越劇の学習を経て、声変わりの時期に当たり、プロの俳優になる機会を失った毛戈平氏は、誤って化粧師に転身しました。
異業種の壁は高いですが、毛戈平氏は最初も「透明人間」の役を経験しました。
しかし、1994年に、毛戈平は自身の名声を高めることになるテレビドラマ「武則天」の楽屋に入りました。当時40歳の劉晓庆氏は、武則天が少女から老女までのあらゆる時期を演じる必要があり、14歳から80歳までの年齢差があり、化粧師の技量を試し、挑戦的な役柄でした。
毛戈平氏は期待に応え、驚異的な化粧技術で視聴者を魅了しました。ドラマ「武則天」は全国的な視聴率ブームを巻き起こし、楽屋の功労者の一人として、毛戈平氏もその名声を高めました。
2000年、有名になった毛戈平はもはや化粧師の身分に満足せず、自身の化粧品ビジネス帝国を構築し始めました。彼は自身の名前を冠した「MAOGEPING」化粧品ブランドを立ち上げ、中国の化粧品産業に革新をもたらしました。
毛戈平氏は、セレブリティ効果を巧みに利用しており、ディオール、エスティローダーなどの一流化粧品ブランドは実際には創設者の名前が冠されています。このような命名方法は、毛戈平の個人名誉をさらに高めました。
同時に、毛戈平は浙江省に「毛戈平形象デザインアート学校」を設立し、北京、上海などの主要都市にトレーニング機関を設置し、化粧技術トレーニング事業を展開しました。現在までに、「毛戈平学校」は全国に9校の分校を持っています。
2003年、国際一流ブランドが集まる上海の徐家汇に、毛戈平氏は最初の実店舗をオープンしました。彼は自ら顧客にメイクの試着を行い、2022年末までに、毛戈平の専門店は367店舗に達し、ますます名声を高めました。さらに、毛戈平はオフラインチャネル向けに専用製品をカスタマイズすることで、消費者の注目を集まっています。
2010年、普華資本や九鼎投資などが共同で毛戈平社に対して投資を行いました。2016年、「MGPIN」のイメージロゴが完全に「MAOGEPING」の化粧品ブランドにアップグレードされ、同年12月には、毛戈平社が初めて目論見書を公開し、国内で初めてA株主板上場を推進する化粧品企業となりました。しかし、その後、発行許可がなかなか得られず、IPOは一時停止せざるを得ませんでした。
しかし、この「挿話」は毛戈平社の士気に影響を与えませんでした。なぜなら、目立つ売上業績は実力の最良の証明だからです。2014年から2016年まで、毛戈平社の粗利益率はそれぞれ81.5%、79.7%、78.22%であり、同時期のロレアル、資生堂、ロクシタンなどを上回り、収益力が見て取れます。
良好の勢いで進めていますが、その時「さらに一段上のレベル」を目指している毛戈平社にはさらなる飛躍の機会が必要です。そして、この機会がすぐに訪れました。
二、国潮ブームの好機に乗っても叶えない「上場の夢」
2018年、国潮文化が各業界を席巻し、新たな美的嗜好となり、国産品が「富貴に飛び込む」時代を迎えました。
国潮経済は最初に李寧などの国内ファッションブランドから始まり、その後、国産化粧品もこのブームに乗り、代表的なブランドとしては完美日記、花西子、橘朵などが挙げられます。特に完美日記は、ジェットコースターのようなスピードで「戦略的な資金調達」を行い、最終的には米国の株式市場に上場しました。
常に洞察力の鋭い毛戈平氏は、このブームを見逃しませんでした。2019年5月、毛戈平が20年前に提案した化粧のテクニックに関する動画がBilibiliで大量に共有され、毛戈平が提唱する「千人千面」や「化粧を本質に回帰せよう」といった理念が広範な議論を巻き起こし、SNS上で毛戈平氏に関連する話題が頻繁に現れました。
毛戈平氏の素晴らしいところは、現在の視点から見ても、彼が化粧するスタイルがまだ古典的であることです。今では数多くのインフルエンサーの顔や韓国風のメイクが溢れている中で、毛戈平が堅持する「東洋の古典的美しさ」が、ブランドの差別化を図る絶好のチャンスとなっています
この好機を利用し、2020年には毛戈平自らが登場し、BilibiliやRED、などのプラットフォームに参入し、KOLや有名人と交流を行い、若者との距離を縮めました。毛戈平の「モデル」は有名ブロガーである「深夜徐老师」、胡軍、趙露思など、さらには90年代生まれの「童年の神さま」からインフルエンサーからスターまでさせたこともあり、毎回のメイクチェンジで「轟音」を引き起こし、毛戈平社の製品の人気は急上昇し、その一連の動きが「真金白銀」の収益につながりました。
2020年から2022年までの間、毛戈平社の売上高は年平均38.1%成長率で増加し、8.8億元から16.8億元にほぼ倍増しました。同時に、純利益も2億元から3.5億元に増加し、増加率は75%も達しました。
さらに、他ブランドの生気のないコラボレーションとは違い、毛戈平は一般的なコラボモデルから独自のブランドである「氣蘊東方」を打ち出し、中国の古典文化芸術を化粧品デザインと融合させたシリーズ製品「气蕴东方」を発売しました。一連の動きによって、毛戈平社はますます注目される存在となりました。今年の「天猫彩妝双11全周期销售榜单」では、毛戈平社の売上高がGivenchy、Armani、BOBBI BROWNを超え、11位に位置しました。
しかしながら、毛戈平氏の経営は順風満帆のように見えても、彼にも「遺憾」があります。上場に失敗した影は常に頭上に立ち込めています。
2021年、「今こそが時だ」と考えた毛戈平は発行審議会の承認を得え、再び上場プロセスを再開しました。A株市場への正式上場まで一歩の距離に迫ることとなりましたが、その後のIPOプロセスは停滞しました。一部のメディアは、原因が外部株主にあると分析しており、毛戈平社の最大の外部株主である九鼎投資は規制違反により何度も監督機関から制裁を受けており、九鼎投資が投資したIPOプロジェクトは異なる程度で障害に直面しています。
また、業界関係者の中には、毛戈平社が上場できない根本的な理由は、その発展モデルが資本市場から十分な信頼を得られないことにあると考える人もいます。
「これは上場しようとする企業だ」というコメントされている時に、毛戈平社の欠点がこれ以上隠されることはできません。
三、製品の研究開発が欠点と毛戈平社の「新たな動き」
毛戈平氏の化粧技術は高度でありながら、毛戈平社の製品に対し、評価はそんなに高くありません。
毛戈平社製の化粧品を購入し、期待を胸に膨らませて使用すると、効果がそこまで良いではないとコメントした消費者がたくさんいますが、特に化粧技術が未熟な初心者は、パウダーが詰まったり、厚ぼったくなったりすることがよくあります。
また、毛戈平氏の化粧スタイルはメディア向けであり、日常的ではないという指摘もあります。「自分が欲しいのは化粧品ではなく、彼の化粧の技です」というユーザーから率直なコメントもよく見えます。
毛戈平社の化粧品は高価で販売しています。「MAOGEPING」の製品構成では、ハイエンド化粧品やスキンケア製品が多くを占めており、例えば「凝光养肤粉底霜」が680元、「光影塑底妆膏」が880元など、他の一部の大手ブランドを大きく上回っています。
しかし、これほど高価な製品でも、人々を「納得させる」ことができないという現実があります。目論見書によれば、2020年から2022年までの間、毛戈平社の研究経費は売上高の1.21%、0.96%、0.87%に過ぎず、一方で販売・マーケッティング経費はそれぞれ42.09%、42.07%、46.74%に達しており、かなりの差があります。
それと比べ、2022年の珀莱雅の研究経費費率が4.32%、贝泰妮の研究経費費率が5.08%であり、華熙生物の研究経費費率は6.10%に達しています。
製品の製造段階では、毛戈平社は主に委託加工、外部委託、外部購入に頼っており、自社の化粧品生産設備を持っていません。生産段階で問題が生じる場合、問題の解決も難しくなっています。
さらに、毛戈平社の44の特許のうち、彩粧品に関連する発明特許は1つしかなく、実用新案特許が3つあり、残りの40件は外観デザイン特許です。2022年末時点で、毛戈平社は全従業員数のわずか1.43%の研究開発スタッフ44人しかいないです。
また、毛戈平社の家族経営モデルも外部から批判されており、毛戈平夫妻とその家族は会社株式の合計81.88%を持ち、7つの取締役のうち5つを占めています。このような経営モデルは会社の安定性を一定程度確保する一方で、「一人勝ち」の意思決定をもたらす可能性があり、企業の将来的な発展に影響を与える可能性があります。
同時に、毛戈平は個人知名度に深く依存しているという重大なリスクに直面しています。毛戈平ブランドの成功は、創始者の毛戈平の影響力に大きく依存しています。このような高度な依存は、ブランドの持続的な発展にとって望ましくありません。
たぶん、この問題に気付いたため、毛戈平は「制限」をすぐに打破するために大胆な行動をとり始めています。2023年4月、毛戈平の美容研究開発工場が杭州で着工し、研究開発生産センター、製品美学デザインセンター、消費者見学センターを備えた革新的な高級化粧品研究開発工場を建設する予定です。最近では、毛戈平社が約6億元で杭州望江商地を取得し、全国本部(化粧品の研究開発、販売)プロジェクトを建設するために使用すると発表しました。
2023年10月、毛戈平社の完全子会社である杭州星屹は、第三の株主として華美康妍(蘇州)生物科技有限公司の株式を買収しました。華美康妍は研究開発と製造を統合した専門の化粧品代工企業です。2024年1月、毛戈平社は杭州尚都汇化粧品科技有限公司に登録資本金は50億元、完全出資の形で立ち上げました。関係者によると、この会社は毛戈平の研究開発拠点として構築されます。
美容業界は競争が激しいものであり、国際的な大手ブランドが市場シェアを奪い合う中、国内ブランドに対する圧力はさらに高まります。マーケティングと宣伝による業績の増加に依存することは長期的な解決策ではありません。真の持続的な化粧品ブランドを構築するには、生産と研究開発の独立性が不可欠です。
おそらく、毛戈平社にとっては、これが上場よりもっとも切実な課題であるかもしれません。
元記事:靠“换头术”走红,却上市梦碎:一年卖出16.8亿的毛戈平,还是没能赢
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