【東北地方×北海道】インバウンド誘客のためのポイントとは?

【東北地方×北海道】インバウンド誘客のためのポイントとは?

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日本の美しい自然や独自の文化が世界中から注目を集める中、特に東北地方と北海道は多くの外国人旅行者にとって魅力的な地域となっています。しかしながら、訪日外国人旅行者にとって、東北地方の認知度はいまだに低く、インバウンド需要をさらに取り込む余地が十分にあるといえるでしょう。本記事では、東北地方を訪れる外国人旅行者の特性、効果的なインバウンド対策のポイントや北海道との連携の重要性について解説します。さらに、東北各県のインバウンド対策の実例をそれぞれ詳しくご紹介します。東北地方が持つ独自の資源を最大限に活かし、インバウンド需要を取り込みましょう。

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1. 東北地方におけるインバウンド動向

近年、インバウンド観光が日本全体の観光業界において重要な役割を果たしています。特に東北地方は、その豊富な自然環境や歴史・文化により、多くの外国人旅行者から注目されている地域です。

まずは、東北地方における訪日外国人旅行者の動向や旅行目的、認知度の高い地域についてご紹介します。

1.1 東北地方における訪日外国人旅行者の多様性

東北地方には、アジア・ヨーロッパ・オーストラリアを始めとする様々な国からの外国人旅行者が訪れています。

2023年3月における東北地方の外国人宿泊者数の国別のシェアを見ると、台湾が30.6%、東南アジアが18.5%と合わせて49.1%を占めています。これは、全国平均の28.4%を大きく上回る数字であり、東北地方におけるインバウンド市場の特徴を明確に示しているといえるでしょう(※1)。

※1)国土交通省 東北におけるインバウンド・国内旅行の状況分析

1.2 東北地方への旅行目的

日本政策投資銀行は、アジア・欧米・オーストラリアの訪日旅行者を対象に意識調査を実施しました。それによると、東北地方への旅行者が期待する旅行の目的としては、自然や風景に関するものが高い割合を示しています。具体的には、「自然や風景の見物」が64.2%と多く、次に「雪景色の鑑賞」が50.0%、「紅葉の鑑賞」を目的としている方も46.1%にのぼります。

また、食に関する観光も東北地方の魅力の一つです。「伝統的な日本料理を食べる」ことを目的にする旅行者が56.1%、「現地の人が普段利用しているカジュアルな食事」を求める旅行者は41.9%です。その地域ならではの伝統的な食事体験に対する期待が高いといえます。

さらに、東北地方の温泉に対する関心も高く、「温泉への入浴」を楽しみにしている旅行者は56.0%にのぼります(※2)。

※2)日本政策投資銀行 アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2022 年度版

1.3 認知度の高い地域

日本政策投資銀行の調査によると、東北地方において認知度の高い地域として、福島が28.8%、仙台・松島が15.4%、青森が15.0%となっています。

特に台湾においては、青森の認知度が6割以上にのぼるという結果が示されました。これは、青森が台湾へとりんごを輸出しており、現地でりんごが高級品として評価されていることが影響していると考えられます(※3)。

※3)日本政策投資銀行 アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2022 年度版

2. 東北地方へのインバウンド誘客施策のポイント

東北地方は豊かな自然や文化、歴史的背景を持つ魅力的な地域です。これらの特徴を活かした施策が、インバウンド誘客の成功につながると考えられます。

本章では、特に注目すべき3つの誘客施策について解説します。

2.1 復興ツーリズム

「復興ツーリズム」とは、災害からの復興を経た地域を訪れることで、その地域の現状や過去を深く知る新しい形の観光活動です。東日本大震災の影響を受けた東北地方では、特に復興ツーリズムを推進しており、地域の観光業の復活に大きく貢献しています。

実際に、地元の語り部によるガイド付きのツアーや、被災地や復興現場を巡るプログラムは、旅行者に深い印象と多くの学びを与えています。

2.2 デジタル化による観光戦略の強化

デジタル化による観光戦略の強化は、今後の東北地方へのインバウンド誘客におけるキーポイントとなっています。

外国人旅行者にとって主要な情報源となっているインターネットを通じた情報提供が不可欠です。位置情報や翻訳アプリを有効活用した観光体験の質の向上も求められています。また、地域の魅力を伝えるためのSNSによる情報発信は、新しい外国人旅行者の獲得に向けての重要な手段となっています。

2.3 地域独自の体験コンテンツの開発

東北地方へのインバウンド誘客を更に強化するためには、地域独自の体験コンテンツの開発が不可欠です。

東北地方が誇る豊かな観光資源である自然・食・湯治文化・伝統工芸品等を最大限に活用し、高付加価値の観光を推進する取り組みが求められています。加えて、地域住民との緊密な協力の元、新しい観光コンテンツを継続的に開発していくことが重要です。

特に近年では、地域の自然や文化に触れるウォーキングツアーなど「アドベンチャーツーリズム」の促進が求められています。アドベンチャーツーリズムとは、「自然」「アクティビティ」「文化体験」の3要素のうち2つ以上を組み合わせて構成される旅行のことです。これにより旅行者に多面的な体験を提供し、旅の満足度を向上させることが期待されています。

3. 北海道との連携による東北地方へのインバウンド誘客施策のポイント

北海道との連携による東北地方へのインバウンド誘客は、東北地方の観光施策において重要なテーマの一つです。両地域は日本の自然や文化を豊かに体験できる魅力を持ち、多くの外国人旅行者が訪れる潜在的な可能性を秘めています。

ここからは、北海道と東北地方の連携におけるインバウンド誘客施策に焦点を当て、周遊旅行のニーズや連携の課題について解説します。

3.1 北海道と東北地方の周遊旅行のニーズ

北海道との連携による東北地方へのインバウンド誘客施策のポイントとして、両地域を巡る周遊旅行のニーズが注目されています。

東北を訪問したいと考えている外国人旅行者が他に訪問したい地域として挙げている割合をみると、北海道は関西地方の62.1%に次ぐ2位の61.9%です。また、北東北の青森県、秋田県、岩手県、宮城県を訪れた外国人旅行者を調査したところ、旅行の前後の滞在地の上位に北海道が挙がっています(※4)。

これらのデータは、北海道と東北地方を組み合わせた周遊ツーリズムが大きなポテンシャルを秘めていることを示唆しています。

※4)日本政策投資銀行 2021 東北インバウンド意向調査

3.2 北海道と東北地方の連携における課題

続いて、北海道との連携による東北地方へのインバウンド誘客施策の課題について考えていきましょう。

北海道と東北地方を周遊する観光では、フェリー、高速バス、飛行機、新幹線など、様々な交通手段での移動が可能です。しかしながら、外国人旅行者におけるレンタカー利用の認知度が低く、これは大きな課題となっています(※5)。二次交通が不便な東北地方での移動満足度を向上させるため、レンタカーの利用の周知と受け入れ環境の改善が必要です。

外国人旅行者へのアンケートでは、「多言語表示が少なく、わかりにくかった」「けがや病気の際、外国人対応が不十分だった」との声が2割を超えています。また、欧米やオーストラリアの観光客の3割以上が困ったこととして「キャッシュレス決済ができなかった」点を挙げています(※6)。

これらの課題を解消し、観光客の満足度とリピート率を向上させるための取り組みが、今後の北海道と東北地方の連携における重要な課題といえるでしょう。

※5)国土交通省 北海道と東北の広域連携による観光需要創出の可能性検討

※6)日本政策投資銀行 アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2022 年度版

4. 東北地方のインバウンド対策事例

東北地方では、豊かな自然や歴史的背景や独自の文化・食材を持つ各県が、様々な取り組みをおこない、外国人旅行者を積極的に迎え入れています。ここからは、それぞれの県ごとのインバウンド対策事例をご紹介します。

4.1 青森県のインバウンド対策

青森県では、新型コロナウイルスによる影響を受けた観光業の回復を目指し、世界遺産を活用した誘客促進や国際定期便の早期再開のためのプロモーション強化が進められています。

例えば航空便では、2023年に入って青森空港へのソウルや台北発のチャーター便が増加しています。また、2019年に27隻と過去最高のクルーズ船寄港を達成した青森港では、国際クルーズ船の受け入れを再開し、今後も寄港の受け入れを増やしていく予定です(※7)。

加えて、北海道新幹線の開業を活かし、鉄道・フェリー・空港などを組み合わせたいわゆる「立体観光」を推進しています。

※7)青森県 観光県あおもり!本格再始動へ

4.2 秋田県のインバウンド対策

秋田県は、特にアジアや英語圏をターゲットにした情報発信に注力しています。公式観光Webサイト「STAY AKITA」や、県公式のSNSアカウントを活用し、台湾・中国・香港・タイ・韓国など各国に向けて多言語で情報提供をおこなっています。情報発信の媒体は、Facebook・Instagram・Weibo・WeChatなど様々です。

また、観光地やアクセス情報を提供する多言語対応のアプリ「アキタノNAVI」を整備し、観光ルートの検索や公共交通の利用情報を提供しています。さらに県は、増加する外国人旅行者へのホスピタリティ向上のため、「外国人旅行者おもてなしマニュアル」を制作。観光地での円滑なコミュニケーションをサポートする「指差しツール」を提供するなど、訪日外国人の安心感と滞在の質を高めるための対策を進めています。

4.3 岩手県のインバウンド対策

岩手県は、「ニューヨーク・タイムズ」が「2023年に行くべき52カ所」として盛岡市を選出したのを契機に、さらなる海外プロモーションを強化する方針を固めました(※8)。この取り組みの一環として、観光業者がおこなう海外プロモーションの補助や、観光誘致イベントの開催を計画しています。

岩手県は、桜と紅葉のシーズンに多くの訪問者を迎える一方、夏と冬のシーズンの誘客に課題が残っています。これに対して、県は観光復活のための経費を計上し、観光庁の補助事業活用や盛岡市との連携も進める予定です。

※8)盛岡市 ニューヨーク・タイムズ紙「2023年に行くべき52カ所」に「盛岡市」が選ばれました!!

4.4 山形県のインバウンド対策

山形県はインバウンド対策として、デジタルマーケティングを積極的に推進しています。具体的には、「旅マエ・旅ナカ・旅アト」の3つのフェーズでのICT活用を中心とした、動画配信やデジタル広告、観光予約サイトの充実化などの取り組みです。

また、県観光ホームページ「やまがたへの旅」をリニューアルし、観光案内と予約システムを一体化。さらに、外国人に向けた多言語ホームページやSNSでの情報発信、メディアとの連携を強化しています。

そのほか、台湾・中国・香港・韓国といったアジア各国をターゲットに、それぞれの特色や需要に合わせた誘客戦略を展開。特に食や文化を活用した通年のプロモーションを重視しています。

4.5 宮城県のインバウンド対策

宮城県では、地域の食・自然・歴史・文化といった観光資源に関する情報発信に力を入れています。外国人ライターが県内の魅力を多言語で紹介する県公式の観光Webサイト「Visit Miyagi」も、その一例です。

また、震災からの復興をテーマにした復興ツーリズムや教育旅行を展開しています。これは、旅行者に宮城県のファン・サポーターとなってもらい、長期的なつながりを築くための取り組みです。

さらに、宮城県はブランド米「ひとめぼれ」や「仙台牛」「牡蠣」を始めとした「食材王国みやぎ」としてのイメージ浸透にも力を入れています。戦略的な広報活動やデジタルを活用した誘客プロモーションが、宮城県の観光振興の柱です。

4.6 福島県のインバウンド対策

福島県は、東日本大震災の被災地を中心とした学習旅行「福島ホープツーリズム」を推進しています。、外国人交流人口の拡大を目指しています。

ホープツーリズムを通じた外国人交流人口の拡大を目指して、被災地の現状を正確に伝えるモデルコースの紹介や、旅行商品の作成・販売などをおこなっています。具体的には、通訳ガイドの研修、英語のWebサイトの開設、外国人向けの旅行商品の開発などを実施しました。

この取り組みによるメディア露出を通じ、「ホープツーリズム」の認知度は向上しました。今後も復興ツーリズムを推進し、インフラの整備を進めることで、さらなる外国人旅行者の増加を目指す計画です。

5. まとめ

東北地方には、豊かな自然や文化に恵まれた地域で多くの外国人旅行者の心を掴むポテンシャルがあります。今回ご紹介した事例などを参考に、地域の魅力を効果的に発信し、継続的なインバウンド誘客を増加させる施策を実施していきましょう。

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