訪日中国人のインバウンドデータと動向:徐々に回復している訪日旅行市場

訪日中国人のインバウンドデータと動向:徐々に回復している訪日旅行市場

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新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、インバウンド訪日客が徐々に戻ってきています。その中で、ずっと注目されている訪日中国人観光客の回復具合はどうでしょうか?過去、夏休みの日本旅行ピークは今年再び訪れるのでしょうか?この記事では、日本への航空、ビザの状況と中国の旅行市場などを解説しながら、訪日中国人の最新動向を紹介します。

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I. 訪日中国人のインバウンドデータと動向

A.訪日外客数推移(2023年6月):着実な回復であり、訪日外客数は増加し続けている

日本政府観光局(JNTO)が7月19日に発表した2023年6月の訪日外国人数*(推計値)は200万人を突破し、207万3,300人となり、これは2019年同月比で72.0%に相当します。

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訪日の国・地域のトップ10は韓国(545,100人)、台湾(389,000人)、米国(226,800人)、中国(208,500人)、香港(186,300人)、シンガポール(54,800人)、フィリピン(54,200人)、タイ(51,300人)、豪州(42,400人)、インドネシア(39,300人)です。トップ5で、訪日外国人数の75%を占めております。

B.一般客1人当たり費目別旅行支出(2023年4~6月):2019年に比べて、1人当たり消費額が大きく増えている

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訪日外国人観光客の一人当たりの費目別旅行支出についての動向に関する情報が示された「日本政府観光局(JNTO)の訪日外国人消費動向調査 集計表 2023年4-6月期 【1次速報】」によれば、2019年に比べて、一人当たりの消費額が大きく増加していることが明らかになりました。2023年4-6月の一人当たりの消費額は20.4万円であり、これはコロナ前の1.32倍に相当します。この増加の理由として、円安と海外物価の上昇によって、日本の円ベースの物価が相対的に割安になっていることが挙げられます。

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さらに、上記の「一般客一人当たり費目別旅行支出_TOP5の国」のデータによれば、一人当たり消費額のTOP5を占める国々は、滞在時間が長い傾向にあります。英国、中国、オーストラリア、フランス、そしてドイツの訪日外国人観光客は、それぞれの平均宿泊日数が14.0~19.0日となっており、宿泊費も欧米諸国を中心に多くの国が一人当たり10万円以上を支出しています。

宿泊費用以外の特に注目すべき点として、中国からの訪日客の買い物費用が挙げられます。2019年のコロナ前のデータによれば、中国からの訪日客の一人当たりの買い物代金は108,788円でしたが、調査対象期間の2023年ではこれが34.9%増加しており、一人当たりの買い物支出は146,786円に達しています。中国からの訪日客が他の国々よりも最も多くの買い物を行っていることが分かります。

近年、観光業界では「モノ消費」から「コト消費」へのシフトが進んでいるとされていますが、実際のデータを見る限り、中国からの訪日客の間では依然として「モノ消費」が主流であることがうかがえます。

C.中国人の訪日データ

中国は以前から訪日旅行客が最も多い国でしたが、現在、中国文化旅行部によれば、日本行きの海外旅行商品の販売が一時的に制限されています。ただし、日本と中国双方の水際規制が緩和された影響もあり、5月に比べて6月の訪日中国人数が増加しており、208,500人(対2019年同月比23.7%)となっています。最近ではビザの緩和や航空便の増加もあり、夏休みに向けて旅行客が増える傾向があると考えております。

訪日中国人の属性と旅行内容

2023年4~6月の訪日中国人を年代別構成比について、「20代以下」が21.4%(2019年は33.8%)、「30代」が32.8%(2019年は31.9%)で最も多いです。2019年に比べて、2023年の訪日中国人客は年齢が上がっており、20代以下の学生・若者の減少しております。これはビザと航空券の取得難易度が高く、一定の経済力を持つ中国人が訪日しやすいと考えられます。

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また、訪日中国人の居住地については、上海からが約40%を占め、続いて浙江省、北京、遼寧省、江蘇省、広東省などの日本に距離的に近い地域や経済が発展している地域が大半を占めています。

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更に、訪日回数について、4月~6月の訪日中国人は、リピーターが74.8%を占め、2019年の50%より大きく増加しています。リピーターの増加により、日本でのディープトラベルやマイナーな地方への観光、コト消費などのトレンドも期待されまると想像できます。

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滞在日数について、7日間以上の中長期滞在者が69.4%を占めています。(2019年のデータでは6日間以内の短期滞在者が過半数を占めていました)。このデータから、コロナ後の日本での滞在日数は以前より長い傾向にあるのは分かっています。

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日本への主な来訪目的について、「観光・レジャー」と「ビジネス」が全体の約8割を占めています。2019年の「観光・レジャー」が全体の76.8%を占めることに比べて、2023年の訪日観光客の回復はまだこれからといえます。

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費目別旅行支出について、一般客の費目別旅行支出では、「買い物代」が旅行支出の約40%を占めています。中国人の日本への「爆買い」が終息の気配を見せ始めたと言われていますが、他の国やコロナ前の買い物代に比較すると、訪日中国人の購買力は依然として旺盛なようです。

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購入実態について、訪日中国人の費目別の購入率を見ると、「菓子類」が71.6%、「化粧品・香水」が51.7%、「医薬品」が35.7%と高い順になっています。2019年の訪日中国人の「化粧品・香水」の購入率は81.9%でしたが、最新のデータによると約30%減少しています。その理由は、コロナの3年間に中国の国産ブランドが発展し、かつ越境ECも急速に発展したため、日本の商品の多くは中国でも入手可能な状況になっているからです。そのため、中国人が訪日する際の買い物に関しては、日本でしか手に入らない商品へのニーズが高まると考えられます。例えば、旅行先のお土産や医薬品などがニーズの高まっているようです。

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II. 訪日の航空券とビザ、団体旅行の状況

2023年の訪日観光客の回復はまだこれからとされる中、現在の状況において観光客の訪日に影響を与える要素について、航空券やビザ、ツアー旅行についてはどんな状況でしょうか?下記は日中のニュースやレポートを取り上げながら、最新の訪日要素をお伝えします。

A.航空券

最近、各航空会社は中国の主要都市からの便数を増やし、地方都市と中国を結ぶ航路の再開も進んでいます。上海〜福岡間の復便、上海〜関西間の増便、北京〜羽田間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にあります。また、航空券の料金も下がり、購入しやすくなりました。

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ただし、ネット上では「以前は上海から東京までの往復チケットは割引があって3万円で買えたが、今年の割引チケットが少ない」「航空業界はまだ完全に回復していないようだ。回復すれば料金も安くなるかもしれない」といった声もあります。ANAによると、現在のチケット料金はコロナ前の130%程度ですが、9月頃にはコロナ前の料金に戻ると予想されています。その時点でチケットの購入がさらにしやすくなるでしょう。

B.ビザ状況

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訪日ビザの申請条件は地域によって異なりますが、依然として厳しい状況が続いています。特に財力証明書などの証明書類が求められています。

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最新のニュースによると、2023年6月19日から日本の観光ビザに電子ビザの申請が可能になり、短期滞在の目的地内で30日間有効な電子ビザが導入されました。ただし、電子ビザの申請は旅行代理店が代行する必要があります。7月13日以降の個人観光ビザ(一次)がすべて電子ビザに切り替わりましたが、システムへの慣れが不足しているため手続きには時間がかかる可能性があります。ビザの厳しさと電子ビザの申請効率の影響により、短期的には大量の個人旅行客の訪日は難しい状況です。

C.団体旅行とクルーズ船旅行の状況

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文化観光部の公式ニュースによると、2023年3月15日から、中国国民の一部の国への出国団体観光事業および航空チケットとホテルをセットで手配するサービスが試行的に再開されました。ただし、この再開の対象には日本は含まれていません。第二弾には日本は含まれていないが、この政策が発表された後、様々な旅行プラットフォームにおける国際航空券の検索量は一気に増加し、その中で日本も人気のオフショア旅行先として検索されるようになった。そこから、現実的な訪日条件(高額の航空チケットやビザの申し込み)は難しいですが、海外旅行中の日本へのニーズは高いのはわかっています。

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団体旅行はまだ再開されていませんが、上海から日本へのクルーズ船は増加しています。中国招商バイキングクルーズは「日本周遊クルーズ15日間」という国際航路を運航しており、7月2日に初の旅客試験航海を成功させました。このクルーズ船はゼロコロナ政策を緩和して以降、中国発着の国際クルーズ船の運航の第1号となった。

ただし、このクルーズ船は料金が高額であり、「一人あたり25,490元(セール後)で、普通のサラリーマンにとっては高すぎる」という声もあります。

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一方、「ロイヤル・カリビアン」のクルーズ船は安価であり、ビザ不要ですので、他のネットユーザーや旅行代理店からも勧められています。夏には頻繁に運航され、九州が主な目的地となっていますが、ビザの取得が難しい観光客にとってはクルーズ船参加の可能性も高いと考えられます。

Ⅲ. 本格的な中国からのインバウンド回復はいつ?

訪日中国人市場の現状として、1月から5月までの訪日中国人は19年比10%程度です。上述の日本政府観光局(JNTO)のデータ、航空とビザ情報、中国政府による日本への団体旅行販売の禁止などの要因を考慮すると、夏休みにおける観光客数がさらに増加する可能性がありますが、全面的な中国からのインバウンド回復はまだ見込めません。中国政府の日本旅行サービス解禁の前に、訪日中国人の数は徐々に増えていくと予想されます。ただし、円安と日本観光の魅力などにより、需要自体は非常に大きいため、ビザ緩和と日本旅行サービス解禁後には大きなピークが訪れるでしょう。

参考資料

今春から中国人訪日観光客の回復本格化へ
─ 航空産業やサービス業の人手不足が課題に ─
https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/research/express/2023/express-jp230207.html

【訪日外国人数】2023年5月訪日客数2019年比68.5%の189万8900人、欧米・東南アジアなどで2019年比プラスも、回復鈍化の傾向
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/50647/

訪日外客数(2023年6月推計値)
https://www.jnto.go.jp/news/press/20230621_monthly.html

訪日外国人消費動向調査「2023年4~6月期」※1次速報
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

訪日中国人受入旅行会社の団体・中連協が総会。中国からの団体旅行復活に向け準備を
https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1513812.html

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邱曉萍

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邱曉萍

中国広東省出身。中国で深圳大学を卒業後、大学院から日本へ留学し人文社会科学研究科を修了。卒業後は株式会社マイクロアドへ入社し、日本企業の中国プロモーション支援を担当

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