市場シェアの優位を失った中国大手フードデリバリーアプリ「饿了么」が他の大手に買収されるという噂は何度か出ています。本文では、「饿了么」の成長歴史、TikTok地域生活サービス分野の現状、他の大手企業の業務概況から、この噂の存続理由を解明します!catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。
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市場シェアの優位を失った中国大手フードデリバリーアプリ「饿了么」が他の大手に買収されるという噂は何度か出ています。買収相手は7億人のDAUを抱え、EC地域生活サービス分野で「大暴れ」を準備している「TikTok」と言うことです。
最近、「現在、両社が価格交渉の段階で、順調に進むと、春季以降に合意に至る見通しであり、買収価格は約70億ドルです」と言う噂が広まっています。
情報によると、両社の意見の相違点は主に買収価格である他、アリババ側の予想価格は75億〜80億元で、「饿了么」全チームの受け入れを売却条件とし、バイトダンス側は「饿了么」の即時配達チームのみ維持したいです。
この噂に対して、TikTok社の関係者は「そのような買収計画はありません」とコメントし、「饿了么」の側も「全く根拠のない噂です」と否定しています。
2022年8月に、「TikTok」と「饿了么」はコラボした後、「美団」と「快手」もコラボしました。現在の地域生活サービス分野において、企業間の連携は競争の鍵となり、適当な企業間連携が「業界第一」につながります。これにより、美団とバイトダンスの地域生活サービス分野の独占状況が打破される可能性があります。
一、「饿了么」:生きるべきか、死ぬべきか
創立から幾多の挫折や失敗を繰り返した「饿了么」の経験を振り返れば、その売却される理由がわかるかもしれません。
他の地域生活サービスプロバイダーと比べ、2010年の「千団大戦」から生き残った「饿了么」の市場シェアはその時から徐々に美团によって侵食されました。その原因は、2013年11月「美団」が「農村包囲城市」のビジネス戦略で農村地域に暮らしているユーザーを狙い、フードデリバリー業務を立ち上げました。「饿了么」の踏み込んでいない地域の顧客ゲットは「美団」の市場シェアをかなり向上しました。
その後、2015年11月、テンセントは「美団」に10億元の投資を追加し、「美団」は正式にテンセントに取り込まれました。ミニプログラムからのトラフィックはより多くの店舗を招致し、フードデリバリー、「闪购」(B2C EC販売ビジネスモデルの一つ)、ホテル予約、「美团优选」、「美团买菜」などの新規事業との連携によって、「美団」が地域生活サービスの大手となりました。
「饿了么」は2018年4月、アリババに95億元で完全買収され、アリババグループの「新たな小売戦略」の一環として統合されました。2018年、中国のEC物流は「1時間以内配達」の段階に入り、「饿了么」の「同城物流配送」(市域範囲内の配達サービス)がアリババの核心業務となりました。
この後、「アリババ地域生活サービス会社」が正式に設立され、「饿了么」、「口碑」、「高德」、「飛猪」との連携コンボで「美団」の侵食を対抗しました。残念ながら、Iimedia Consultantのデータによると、2022年、「美団」がフードデリバリー市場の約70%を占めていましたことがわかりました。アリババの収益主力ではない「饿了么」フードデリバリー業務の市場シェアは「美団」の半分も満たない状況が続いています。これが「饿了么」が売却される理由の1つかもしれません。
「饿了么」自社の視点から見ると、アリババの2024会計年度第2四半期の財務報告(2023年9月まで)によると、この四半期、地元生活サービスの収入は前年同期比で16%増加し、注文数はほぼ20%増加しました。「饿了么」は経営効率向上のトレンドを継続しています。
同時に、「饿了么」は自身の損失を急速に縮小しています。 この四半期、経営損失は前年同期比で引き続き縮小し、調整後のEBITA(経営利益)は25.64億元に縮小しました。
「饿了么」の非飲食相関配達注文数増加率が二桁のスピードで増加している原因は、祝日配達サービスレベルの向上とマーケティング面で力を入れたのです。
その中、「七夕の花束配達」や、「24時間*7日薬物の配達サービス」のキャンペーン、2023年9月22日に最新のiPhone15の発売とのコラボなどが挙げられます。さらに、饿了么は「答えが当てたら無料」のキャンペーンも開催しました。公開されているデータによれば、2023年には4000万人以上が該キャンペーンに参加し、参加した企業の数は150万を超え、2022年の2.5倍の規模となりました。これにより、饿了么は細分化された、標準外の即時配達のシーンにおいて収益増加の機会を探っています。
現在、「饿了么」が存続できるかどうかという問題はほとんど提起されていません。むしろ、「饿了么」がどのように自社の成長速度を向上させ、地域生活サービス分野でのシェアをどのように拡大することが期待されています。
なぜというと、「饿了么」はアリババグループにとって地域生活サービス分野の地位と美团との競争可能性の維持する鍵であり、アリババが他の地域生活サービス事業を展開しても、「饿了么」は基本戦力として機能することができます。
もちろん、「饿了么」が果たしている役割は、「TikTok」が饿了么を狙う理由の一つでもあります。2023年12月、業界では「饿了么が買収される」噂や相関の買収金額が突然に広まり、美团の株価に波乱をもたらした。
そして、その情報が広まった翌日、アリババ社はアリババグループCEO、淘天グループの会長である吴泳铭が淘天グループのCEOも兼任することを発表しました。当時、「吴泳铭が饿了么の売却を考えている」という噂が広がりましたが、「饿了么」側はその噂を否定しました。
噂の内容はどうであれ、TikTokは地域生活サービス分野には確かに配送チームが欠けています。しかし、どうやって配達チームの立ち上げることは饿了么の買収によるのか、他の方法で対応するのかは、TikTokの操作次第です。
二、「玄関までの配達」のできないTikTok地域生活サービス
TikTokの地域生活サービス分野への進出する試しは2018年から既に始まりました。
2022年6月、TikTokは地域生活サービス事業を推進重点とし、手数料の徴収も開始しました。手数料率はサービスによって異なり、2%〜8%の範囲内となります。当時、多くのインフルエンサーや店舗経営者は、「TikTokで全体的なマーケティング費用は他のプラットフォームと比べて低くないですが、手数料の方が他プラットフォームよりも低いく、店舗の収益率は高い」と語っています。
しかし、現時点のTikTokの地域生活サービスは、主に店先でのサービスに集中しており、「玄関までの配達」ではありません。地域生活サービス分野では、実店舗消費の「团购」(共同購入)がB2Bサービスで、コストが易しく管理できますが、「玄関までの配達サービス」はB2Cモデルであり、店舗の「玄関への配達」能力だけでなく、プラットフォームの監督管理メカニズムの整備の必要があります。そういう点は回避できない課題であり、また短期間で構築するのが難しい能力でもあります。
2022年7月、TikTokは「玄関までの配達」のできる団体購入オプションを試みました。ユーザーは、普通に各店舗に注文し、店舗は「達達」や「閃送」などの第三者配達サービスプロバイダに配達請求を注文するモデルで配達サービスを提供していました。配達費用は通常、商家が負担しますが、このサービスは成都、上海などの一部都市の一部の店舗で利用可能です。
普通の飲食店にとっては、全体的なコストがそれほど低くないです。
TikTokの広告メカニズムは入札に基づいており、投資が多くなれば、トラフィックの獲得効果も明らかになります。なので、店舗はライブ配信の人件費や商品コストを除外しても、数十万元程度の投資も必要です。
したがって、高単価のトップ飲食ブランドだけがTikTokで地域生活サービスを提供することができます。第三者の配達サービスを利用できるとしても、コストはユーザーと均等に負担され、ユーザーの注文費用が高くなります。一般の飲食店は巨額なコストを負担する能力がなく、トラフィックとライブ配信に頼る他にはありません。これが、現在TikTokの地域生活サービスで活躍している店は各分野のトップブランドで、「饿了么」や「美団」のように全カテゴリーを網羅することができない理由です。
このような厳しい状況を背景として、2022年8月、TikTokは「饿了么」との連携事業を公表しました。「饿了么」はTikTokのオープンプラットフォームを基に、ミニプログラムをキャリアーにして、ユーザーにコンテンツ、オンライン注文から即時配送までの地域生活サービスを提供できるようにしました。
当時の声明は、「ショットビデオ時代において、店側と消費者側を深く結びつけ、『素早く見出せる、サクサク注文できる、すぐに届く』の地域生活の新しい体験をもたらす」としています。これにより、TikTokは「饿了么」プラットフォームに登録した多くの商家と繋がっているだけでなく、「饿了么」の配達システムを利用し、「玄関までの配達」サービスを提供できるようになりました。
2023年7月、TikTokは自社のフードデリバリーアプリ「心動外卖」が成都市を試行範囲として実験的な運営が始まりました。配達システム構築ができなかったため、「心動外卖」最終的に下げられました。「『心動外卖』プロジェクトはByte Dance内部に、機密プロジェクトとされています」と情報筋が述べています。
現在、ユーザーがTikTokアプリで「心動外卖」を検索すると、「現在、TikTokにはフードデリバリーに関連する事業計画はありません。『心動外卖』に関連する募集、代理情報はすべて事実ではありません」というメッセージがトップに表示されます。
「心動外卖」以外にも、TikTokの自社の地域生活サービスは非常に高い収益目標が設定されています。2022年に、TikTokの地域生活サービスは770億元のGMVを達成し、年初に設定された500億元のGMV目標を大幅に上回りました。地域団購広告ビジネスは約830億元の売り上げを達成し、年初に設定された450億元の目標を上回りました。
メディアによると、2023年のTikTok地域生活サービスの利益目標は1500億元であると報じられていますが、これは2022年の実績に基づいたかもしれないですが、2023年TikTokの設定した利益目標は既に美团のホテル予約業務の利益の40%近くに達しています。TikTok側は具体的な数字についてはコメントしていません。
理想は肉感的ですが、現実はガリガリ。TikTokがコンテンツ販売+即時EC+物流配達の取引チェーンを構築しようとしても、常に美団や拼多多などのプラットフォームの動きに注意を払う必要があります。
三、激しい競争の中にある地域生活サービス分野
「饿了么」やTikTokが注目を集まっている中、「小红书」や「拼多多」などのEC大手も地域生活サービス事業に力を入れています。
2023年4月、「小红书」は店舗、飲食店、およびサービスプロバイダーの募集を開始し、「团购」機能の内部テストをも開始しました。この動きは「小红书」飲食業界での推薦から販売までのコンテンツビジネスモデルを実現しようとしていることが示されています。多くの店舗オーナーや店舗探索ブロガーは、「小红书」利点を活用して新しいホットスポットの発見と期待しています。
しかし、「小红书」の「团购」サービスを提供している店舗の多くの責任者は、小红书の「团购」を利用する消費者は少ないで、消費者の多くは依然として美团、大众点评、抖音のようなプラットフォームを利用していると言います。
「小红书」が展開した「100店舗探索計画」活動も、多くの参加者からシステムにバグがあると批判されています。たとえば、自分の探索ノートが投稿されたにも関わらず、システムが進行状況を停滞させる、活動の景品を受け取れない、ノートの投稿数が正しくカウントされないなどです。そのため、参加者がますます少なくなっています。
これらの問題が重なる中、小红书は地域生活サービス分野におけるさまざまな側面を改善し、再試行の必要があります。
「拼多多」の方は、2023年4月、自社の「团购」プラットフォームである「快团团」で地域生活サービスの商品を更新しました。「快团团」がカバーするカテゴリは、飲食だけでなく、観光宿泊、レジャー娯楽なども含まれており、「拼多多」アプリにおける「地域生活」よりも品類が幅広いです。
4月のテストの後、「拼多多」は「多多买菜」によって地域生活サービス提供能力を強化しました。2023年12月に、「多多买菜」はサービスの提供可能の店舗の募集を開始しました。募集プロジェクトには飲食券、ホテル券、観光施設の入場券、映画券などが含まれており、「農村包囲城市」の戦略を採用し、下沉市場(中国の都市の格付けで、「サードティア(三線城市)」と呼ばれる地方都市群にいるインターネットユーザーの市場)から突破しようとしています。
今年1月、「多多买菜」が地域生活プロジェクトを一時停止したという報道がありました。「多多买菜」まだ成熟していない可能性があり、新規ユーザー獲得コストが高いことがその理由かもしれません。また、必要な人的リソース、物的リソース、および時間コストが、ほとんどの店舗にとって高すぎるため、「多多买菜」の地域生活プロジェクトの募集活動を停止しました。
「小红書」も「拼多多」も、地域生活サービス分野での試しを諦めていません。「小红書」はまだ「团购」エコシステムを構築しようとしており、「拼多多」アプリのメインUIには「地域生活サービス」が残っています。
一方、地域生活サービス分野を長年支配している「美团」は、すでに価格補助金、物流技術、内部管理支援で高額のコストをかかっています。
2023年2月、TikTokの低価格「団購」が打ち出された。これに対し、「美団」も飲食店での店内消費に「特価団購」セクションを立ち上げ、ユーザーの低価格認識を強化することを意図しています。
2023年7月、「美団」はコンテンツ構築を強化し、ホームページに「美団ライブ」の入口を設置しました。美団ライブには、店舗出前の「神抢手」、美団トラベルのライブルーム、および複数の地元企業の自社ライブルームがあります。翌月、美団はホームページの下部メニューバーに「ビデオ」タブを追加し、ショットビデオの入り口として設置しました。これにより、より多くのユーザーを引きつけ、美団がコンテンツ内容での不足分を補填しました。
実際、今年の第三四半期、美団の客単価もやや下落しています。これは、資金の投入と補助金の増加、および「拼好饭」の注文比率の増加に主に起因しています。
要するに、地位生活サービスに新規参入としたい大手企業が地位生活サービス業務を発展するのが非常に険しい道です。「美団」や「饿了么」が自社の不足店を補足するのも容易ではありません。
最初に戻りますが、Tik Tokと「饿了么」との連携し、低価格とライブコマースを活用し、サプライチェーンの充実さや評価監視管理体系を改善することで、将来の地位生活サービス分野の競争が変わることが可能です。その時、「美団」がどのように対応するのが期待されています。
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