中国のEC歴史において最も活発した時期である2024年の春節大型連休では、各大手のECプラットフォームは各自の「年貨節」(年越し用品キャンペーン)「春節不打烊」(春節期間中でも休業なし)に大々と取り込んでいて、物流企業も「春節期間中でも配達」のイベント打ち出していました。本文は、がらりと変わった今年の春節EC業界について解説します。catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。
- X (旧Twitter) で投稿
- LINEで送る
- Facebookでシェア
- URLをコピー
一、春節期間中でも営業続くライブコマース
先日終えた2024年の春節の大型連休は、中国のEC歴史において最も活発した時期だと言えます。
各大手のECプラットフォームは各自の「年貨節」(年越し用品キャンペーン)「春節不打烊」(春節期間中でも休業なし)に大々と取り込んでいて、物流企業も「春節期間中でも配達」のイベント打ち出していました。
中国での「履約サービス」レベルの向上に伴い、春節期間中のオンラインショッピングも常態化となりつつあり、多くの業者もこれにより多くのビジネスチャンスを見出しました。
伝統的なECプラットフォームと比べ、ユーザーのエンターテイメントニーズに即するライブコマースは、春節期間中でのEC業界において、大きなポテンシャルを示しました。
小紅書(RED)を例として、「春晚笔记与直播分享平台」(春節連歓晩会公式コンテンツシェア・ライブ放送プラットフォーム)となったREDは、大晦日当日、中国中央テレビと共同で「大家的春晚」(皆様の春節連歓晩会)のライブ番組を立ち上げました。
番組では春晩(春節連歓晩会の略)のバックグランドや出演者の有名人への取材のほか、REDの「コンテンツ推薦」の本役も忘れていません。董洁、吴昕、一颗KKなどの有名人は「商品推薦官」に指定され、番組の放送期間中、視聴者に商品を推薦しながら、RED側からの便利な購入リンクも同時に提供されました。
REDが公開したデータによりますと、「大家的春晚」は10億回以上のアクセス数、2700万超えた視聴数、1.7億回超えたリアクト数との大成功を収めました。
一方、春晩との連携を取っていない抖音と快手は、近年と同じく春晩の同時ライブを行いました。両社は地方文化と風土に焦点を当て、それぞれ独自の「村晩」と「鉄晩」を打ち出し、国民をより納得できる形式で「春節期間トラフィック獲得戦」に参入しました。
抖音と快手のライブは春節の連休限定ではなく、春節シーズンの終わりまで続いて行きました。1月25日から2月25日まで行われた「2024抖音新春直播季」のイベントは、コンサート、古典劇、漫才、ショートコント、映画などの形式でライブを続いていました。快手側は1月26日から2月26日まで「明星陪你过大年」(有名人と一緒に春節を楽しもう)とのイベントを立ち上げ、数多くの有名人が集まれ、ショットビデオとライブの形で視聴者に新春のお祝いを述べました。
昨年でQuest Mobileの公開されたデーターによると、2023年度春節期間のDAUは前期比1993万人が増え、8.92億人となりました。このような一年中のトラフィックピックである春節の大型連休期間中で、各プラットフォームは多額の投資でたくさんのイベントを打ち出したのも当然なことと考えられます。
しかし、注意すべきは、ECプラットフォームである抖音と快手は今年度の春節期間中で打ち出したイベントはほぼエンターテイメントイベントで、ビジネス属性が明確ではありません。
各ECプラットフォームにとって、春節期間中のプロモションは見込み客の転換とブランドロイヤルティーの向上が重点ですが、各ライブ主にとって、春節はトラフィックから収益をもらえる時期です。
二、一般人ライバーのチャンスとなった超人気ライバーの休暇
今年の春節期間中のライブコマースにおいて、トップライバーたちが「欠席」した現象が現れ、特に過去1年間で最も注目を集めた「超人気ライバー」たちは期せずに春節期間中のライブ配信をやめました。
その中、超人気ライバー李佳琦は2/8-2/16の間でライブを一時的に停止し、「辛巴和蛋蛋」の最後のライブも1月末ごろで、「小杨哥」の最後のライブは2月3日でした。さらに、「与辉同行」と「交个朋友」の最後のライブは2月7日で、「东方甄选」も「2/7-2/11の間で、ライブはしばらく中止とさせていただきます」とのお知らせが発表されました。
これらのトップライバーや大手ライブコマース機関にとって、春節期間中のライブをサボることは、1年間の売り高にあまり影響を与えることもないし、傘下のライバーを春節期間中に追加勤務させると、利益分配には問題が発生する可能性もあり、得るものより失うもののほうが多いです。
そのため、ほとんどの超人気ライバーたちは春節連休機関のライブを停止することにしましたが、大型連休は一般人にとっても最も暇のある時期であり、ライブの視聴者数も増え、トラフィックに良いことになりました。結局、多くのライバーが春節ライブの「最前線」で頑張り続けました。
抖音のライブコマースデータによれば、除夕から初三まで(2024年は2/9から2/12の間)、売り高ランキングの上位トップ4は「Jill」「永劫无间官方」「胖虎奢侈品甄选」「魏老板私服」となりました。
その中、「永劫无间官方」というあるゲームの公式アカウントが新年初日、258元のゲームアイテムパッケージを40万件も販売し、一日間の売り高1億元の成功を収めました。このデジタル商品に属するアイテムパッケージは、物流に出荷を制限されることもないです。また、このアカウントは独自の特定の顧客層を持っており、1人あたりの制限付きの商品が40万以上も売れました。
そのほか、フォロアー数が50万未満の他アカウントも、それぞれの日間売り高が516.5万元、714.13万元、1228.16万元となりました。
これらのアカウントを含むランキング全体から見ると、春節期間中の売れた商品は服、中古のハイブランド品、宝飾品などに集中しています。春節期間中に良い成績を収めることができた主な理由は、即時需要が比較的低いため、予約販売が可能であるか、商品価値が高いため、順丰による航空輸送が主要で、地上運送の影響を受けないのです。
中国演出行业协会などが共同編纂した「中国网络表演(直播与短视频)行业发展报告(2022-2023)」によると、2022年末までに、中国のネットワーク表演(ライブ配信)業界のライバーアカウントは累計で1.5億以上あり、前年比14.3%増加しています。
しかし、主な収入源としてライブ配信を行っているライバーのうち、95.2%が月収5000元以下であり、月収10万元以上のライバーはわずか0.4%しかいません。
ライブ配信業界で「何もしなくてもお金を稼ぐ」という表面上のイメージと、実際の収入水準の極端な不均衡性により、この業界は常に論争の的となっており、中小のライバーたちは頭部の階層に進出する機会を切望しています。
ファンの数がどれだけ多くても、春節は1年のうちで唯一のチャンスであり、多くのライバーにとって、頭部ライバーの「影」から抜け出し、高いトラフィックと高い収入を獲得する機会を求めることができるかもしれません。
このような背景のもと、春節のライブ配信ルームでの競争が従来以上に激しくなることは驚くには値しません。
三、年一度の春節に投資するやり甲斐は?
今から見ると、春節期間のトラフィックは増加していますが、春節期間に「残業」し、ライブを続けるライバーはまだ少数であり、ほとんどのライバーは様子見の姿勢を維持しており、春節のトラフィック増加にあまり関心を示していないようです。
その原因は収益化率が予想より大幅に下回ることにあるかもしれません。
中国国家郵便局のデーターによりますと、今年の春節連休期間中(2月10日から17日まで)において、全国郵便集荷件数は10.79億件で、日間平均集荷数が前期比145.2%増となりました。配達件数は6.41億件で、日間平均配達数は前期比82.1%となりました。
従来と比べ、今年の消費者は春節連休でのオンラインショッピングが特に好きそうです。ただし、注意すべき点は、旧正月の初めから大晦日までの間、全国の日平均集荷件数が4.5億件以上に達し、1日の受付量が春節休暇の4日間のパーセルに近づいているということです。つまり、春節のオンライン消費習慣はまだ育成過程にあります。
一方、物流および人件費は避けられないコストです。
物流業者の「春節でも配達できる」はすでに共通認識となっていますが、春節の前は、「交通や天気などの客観的な要因によって、配達日数、サービス範囲、および利用料金に影響がある可能性がある」と強調しています。様々な「客観的な要因」による影響は短期間では完全に解決されないため、物流業者の春節期間中の事業意欲に一定の影響を与えています。
同時に、春節期間の労働コストも無視できません。休暇前の3日間、フルタイムのライバーは法定倍率の3倍の賃金を受け取るだけでなく、パートタイムのライバーの時給も大幅に引き上げられます。これに加えて、手数料などの売上提携金があるため、多くのライブコマース会社がためらっています。このため、春節休暇の数日前にランクインに登った多くのライブコマースアカウントは、MCN組織には契約していない個人のライバーです。
しかし、否定できないのは、春節期間のポテンシャルが引き続き発掘されており、ますます多くの参加者を惹きつけているということです。
たとえば、「春晩」の放送後、章若楠が着用したピンクのセーターや、马丽が着用した「光腿神器」などがネットで大ヒットし、同じ商品はすぐに売り切れました。同時に、多くのヒットに追随する企業が類似のスタイルを打ち出し、トラフィックを受け入れています。
春節期間中、消費者はより多くの時間を費やして、自分の好きな商品を積極的に議論し、友人や家族とお互いに影響を与え、その背後にはビジネスの機会がいくつかあります。
観光、映画などの業界と比べ、ライブコマースを含むEC業界は、春節期間の消費から収益することはまだかなりのポテンシャルがあります。
- X (旧Twitter) で投稿
- LINEで送る
- Facebookでシェア
- URLをコピー
コメント
会員登録をすると、コンテンツへのコメントができるようになります!
コメントはありません。