「創業4年以内でアメリカに新規上場し、上場初日株価が75%急騰し、約120億ドルの時価総額(約800億人民元)以上になった」という業界神話を創り出した中国化粧品ブランド「パーフェクトダイアリー」が近年、赤字が続き、収益性の見通しが立たない状況となりました。自力で利益回復のため、「パーフェクトダイアリー」では様々な改善策が打ち出されました。
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先日、中国化粧品ブランド「パーフェクトダイアリー」(Perfect Diary)の親会社である逸仙電商が2023年上半期の財務報告書を公表しました。財務報告書によれば、逸仙電商の総純収益は85.9億元で、前年比で9.8%減少しました。純損失は10.85億元で、前年比で59%縮小しました。Non-GAAP純損失(「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」による定めがない指標)は4,630万元で、前年比で77.7%縮小しました。
パーフェクトダイアリーは「創業4年以内でアメリカに新規上場し、上場初日株価が75%急騰し、約120億ドルの時価総額(約800億人民元)以上になった」という業界神話を創り出しました。しかし、近年、連続6四半期にわたる売上の減少に直面し、パーフェクトダイアリーの成長は思うように進みませんでした。
パーフェクトダイアリーの成功は、優れたマーケティンの結果だと考えられます。同社はマーケティングにおいて一貫して高額投資が行われてきました。小紅書(RED)などのKOLを活用した成功に続き、プライベートトラフィックやライブコマースなどの新しいチャネルを積極的に取り入れました。さらに、高いコストパフォーマンスの製品と非常に速い新製品リリースサイクルからも多大な利益を得ました。
しかし、コロナの蔓延につれ、オンラインおよびオフラインの消費市場、特に化粧品市場は大きな圧力を受けました。その後、逸仙電商の収益の伸びは鈍化し始め、マイナス成長さえ経験しました。同社の純利益は赤字が続き、収益性の見通しが立たない状況です。
化粧品ブランド間で展開されている価格競争、マーケティング競争、研究開発競争
中国ブランドの台頭とともに、近年、各化粧品ブランドは自主的な商品開発にますます注力しています。パッケージデザイン、商品カテゴリ、効果効能から製造プロセスや原料まで、消費者の選択肢が多様化しています。さらに、他の中国ブランドもパーフェクトダイアリーのマーケティング戦略を「コピー」し、小紅書(RED)などのプラットフォームで多数の優れたKOLを迅速に活用しています。中国の化粧品業界がますます多様化する中で、パーフェクトダイアリーは以前のブランド優位性を失い、消費者ロイヤリティーの維持が難しくなっています。
パーフェクトダイアリーは自力で利益回復に取り組んでいます。2020年以降、逸仙電商は独自のスキンケアブランド「完子心选」、メイクアップブランド「皮克(Pink)熊」を立ち上げ、ネイルサロンブランド「小奥汀」、フランスのプレミアムスキンケアブランドの「Galenic」、台湾のプロフェッショナルスキンケアブランド「Dr.WU」、英国の有名なスキンケアブランド「Eve Lom」を中国事業経営権などの買収によって、化粧品全業態を含め、全カテゴリーをカバーするビジネスネットワークが形成されました。また、8月11日に逸仙電商は自社初の工場である逸仙生物科技の正式開業を発表しました。逸仙生物科技は、逸仙電商と世界最大のODM(オリジナルデザインメーカー)企業の一つであるCOSMAXが共同設立し、商品の研究開発、製造、品質管理なども統合しています。この工場の総投資額は6億人民元を超え、COSMAXが大多数の株式を所有しています。逸仙電商にとって、逸仙生物科技の設立はサプライチェーン戦略の重要なステップと見なされています。
メディアインタビューで、「コスト削減と効率向上に焦点を当てながらも、なぜ逸仙電商が新しい工場建設に投資を決定したのか」と尋ねられた際、逸仙電商の創設者であり、社長兼CEOの黄錦峰は、「サプライチェーン業界に参入し、世界的に一流な工場を構築することは避けられない選択肢だ」と述べました。「原材料供給、ブランドの伝承、物流プロセスの安定性、供給の持続可能性などの問題点に対し、逸仙電商は傘下のパーフェクトダイアリー、小奥汀、Dr.Wuの商品が逸仙生物科技により生産する予定ですが、他の科兰黎、EVE LOMなどの製品に関しては、すべての影響要因を総合的に考慮してから判断します。」
「化粧品業界の生命線は常時革新にあり、より高度な技術の持つ、自然環境により優しい製品の開発は今後ますます重要となるでしょう。過去数年間、逸仙電商はサプライチェーン全体において大きな革新、研究開発を行ってきました。長期的には、これらの動きが企業の基盤となっています。」黄錦峰は、化粧品の商品革新についてそう語りました。
パーフェクトダイアリーは絶えず変化している化粧品業界の頂点に戻りたいなら、自社の単に「網紅」や「マーケティング上手」に関連付けられているイメージを払拭し、研究開発への投資を増やし、自社ブランドを真に代表する製品を生産しなければなりません。これによって、消費者が自社のブランドをよりよく覚えるでしょう。
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