一）中国の美容機器業界とは

A.中国における美容業界の規模について

2021年から美容業界の市場規模が110億元を突破し、2026年には200憶元を突破するのではないかと見込まれていると予想されています。中国における美容機器のニーズは2014年の131.9万台から2019年には655万台超に増えていき、40％近くの伸び率を見せています。さらに、美容機器を取り扱う中国国内企業は10万社を超え、その80%以上の企業が5年以内（2014年〜2019年）に設立された企業となります。中国での美容機器市場の規模は拡大しているのを見せているといえます。

それに、近年は中国人の収入所得水準の上昇に伴い、中国の医療美容市場は急速な発展を続けており、その中で、非外科的光医療美容の市場規模は2023年に1,310億元に達し、光医療美容のユーザー数は23.54人程となっています。2023年には100万人に達し、家庭用美容機器市場の消費の向上となりました。同時に、家庭用美容機器は徐々により厳格な医療機器監督の対象となり、市場の健全で秩序ある発展を促進し、市場の消費のアップグレードを共同で促進しました。

B.中国の美容機器の種類について

中国市場における美容機器は種類が多くなってきており、洗顔美容器、イオン導入器、高周波美顔器、LED美顔器、MS微電流美顔器など機器が多岐に渡っています。また、家庭用美容機器の機能としては、人間の肌を調整して改善するために簡単に操作できる装置であり、人間の皮膚のクレンジング、角質除去/脱毛、しわ除去、シミ軽減、肌の色合いの改善などのケアを行うことができます。一般的な家庭用美容機器は主に光電加熱類、イオン化による導入と輸出、代謝促進、抗炎症、修復、脱毛などを含みます。美容機器に使用される技術には、音波技術、イオン伝導、 LEDライト、EMSマイクロカレント、RF高周波、レーザータイプという6つのカテゴリーがあります。

エステサロンなどに行く手間を省け、かつサロンより安価に美容ケアができる美容機器は消費者たち、特に90後（1990年以降生まれ）の若者にとって膨大な人気を集めています。

C.中国美容機器市場におけるユーザー人物像とニーズ

iiMedia Research調査データによると、中国における美容機器の消費者層のうち女性が 70% 以上を占めており、主に第一線都市 (新一線都市を含む) と第二線都市に分布しています。

調査データによると、中国人女性の給与水準は過去5年間で上昇したと見られます。iiMedia Consultingのアナリストは、中国の国民所得水準が上昇し、「自分を喜ばせる」という概念が人々の心に根付くにつれ、「外見消費」市場はまだ大きな成長の余地があると考えています。特に、大都市の人々は経済水準の向上と自己認識の目覚めにより、増々多くの現代女性が今の時代の主な消費力となっていると考えています。女性消費者の美容やスキンケアに対する多様化したニーズが重なり、美容市場の活性化をさらに促進し、それは家庭用美容機器業界に良い発展の機会をもたらしていると考えられます。

2023年、中国の医療機器の主な貿易相手国はアメリカ、ドイツ、日本、メキシコ、イギリスとなる。現在、中国の家庭用美容機器の海外ブランドは主に日本、アメリカなどに集中しています。それらの海外ブランドとの強固な協力は、中国の家庭用美容機器企業が生産技術と設計コンセプトを導入し、製品品質と技術を向上させるのに役立ちます。

それに、iiMedia Research調査データを見てみると、中国消費者の現在の主要なスキンケアのニーズはクレンジング、引き締め、美白、肌の若返りと保湿、及びエンジングケアであり、使用されている主な家庭用美容機器には、光線療法美容機器、高周波美容機器、超音波が含まれます。そこで iiMedia Consulting のアナリストは、スキンケアに対する中国の消費者のニーズはもはやベーシック ケアに限られておらず、既により多様化かつパーソナライズされた方向に発展していると考えています。さまざまな年齢層、肌タイプ、異なるニーズを求める消費者はスキンケア製品や美容機器を選択する際に、異なる好みや考慮事項を持っていると思われます。

二）中国消費者は美容機器の購入から考察する消費者行動:美容機器の購入意識と購入先

中国消費者はスキンケアや美容に関してかなり意識が高まっていると同時に、家庭用美容機器を購入して自分で操作する傾向が高くなっていき、その主要な理由は利便性 (53.5%) とコストの安さ (53.2%) と考えられます。iiMedia Consulting のアナリストは、現代の家庭用美容機器の設計はユーザーエクスペリエンスを重視しており、デザインがシンプルで操作も簡単であるだけでなく、現代人の時間と効率への追求に応えており、経済的に高品質のスキンケア効果を実現できるところも考えています。

ところで、中国消費者が美容機器を購入する際に最も重視しているのは、機能の多様性（47.5％）、続いては機器の技術内容（42.9％）となっています。iiMedia Consulting のアナリストは、今の中国消費者の美容とスキンケアに対する要求はますます多様化しており、もはや単一の基本機能に限定されていないと考えます。高度なテクノロジーは、より正確で効率的なスキンケア体験を求めており、特定的な肌のトラブルに対してより正確的なケアを提供していき、スキンケアの適切性と有効性を向上させることを追求しています。

さらに、中国消費者が家庭用美容機器の購入先については、ソーシャルプラットフォームを検索して使用コメントや口コミ投稿を参考にしたり、比較を通じて購入したいブランドを確認したりすることが一般的である。そのため、ソーシャルメディアにのせた口コミ投稿内容は中国消費者の購入意思を決定することに影響を与える要素の中でも、製品の性能がかなり重要なポイントとなっています。iiMedia Consulting のアナリストは、家庭用美容機器などの高価値で汎用性の高い製品を購入する際、消費者は非常に合理的な買い物行動を示すことが多いと指摘しています。また、ソーシャル プラットフォームは、大量の UGC を収集するだけでなく、それをアルゴリズムを通じて正確にプッシュすることで、消費者が色々なユーザーやさまざまな視点から、製品のレビューや使用体験を簡単に入手できるようにします。

近年、中国での買い物形式が多様化しているとみられます。消費者はさまざまなチャネル、主に電子商取引プラットフォーム、ソーシャルメディアでのブランドまたはKOLプロモーションによるリンク、及び製品の公式 Web サイトなどのオンラインチャネルを通じて、家庭用美容機器を購入しています。iiMedia Consulting のアナリストは、電子商取引プラットフォームがその豊富な製品セレクションとプロモーション活動により、現在中国国内で主要な販売チャネルになっており、ソーシャル メディアが KOL プロモーションとコミュニティ マーケティングを通じて製品の認知度を高めていき、製品の公式ウェブサイトが正規的なチャネルとカスタマイズされたサービスを提供しているため、消費者の個別のニーズを提供していると指摘しています。

三）中国の美容機器市場における発展と課題について

A.中国の美容機器市場における関連分野と発展

中国消費者が現在の家庭用美容機器に関して抱えている最大の問題は、安全性の問題、関連する医療機器認証の欠如であり (52.5%)、次いで不安定な性能または不十分な結果 (47.2%) となります。iiMedia Consulting のアナリストは、美容機器は人の皮膚、またはさらに深層皮膚に直接効果のあるケア製品であるため、その安全性と有効性はユーザー健康と体験に直接関係しており、家庭用美容機器の安全性と有効性の問題を解決することが無視できないことであると考えています。

近年、中国の医療美容市場の規模は急速に成長を続けており、その中でも非外科的美容整形市場は傑出した成長を遂げています。家庭用の医療美容の延長として、家庭用美容機器は便利で個人に合わせたもので比較的に低いコストであるため、基本的なクレンジングや保湿から高度な光電療法や高周波治療に至るまで、美容ケアや肌の引き締めなどを自宅で行う中国消費者がかなり増えています。中国の消費者の多様なニーズに応えるために、中国の家庭用美容機器はますます多様な機能化をしていくとみられます。

調査データによると、2017年から2023年にかけて、中国の光医療美容市場のユーザー数は増加を続けていき、2023年にはユーザー数が2,354万人に達しており、2025年までに3,105万人に達すると予想されています。iiMedia Consulting のアナリストは、光医療美容市場の急速な発展に伴い、非外科的、低侵襲または非侵襲的な美容方法に対する消費者の受け入れが徐々に増加していると考えています。中国の消費者はもはや基本的なスキンケアに満足せず、よりパーソナライズされた、効率的で便利なスキンケアソリューションを追求するようになりました。

B.中国の美容機器市場における課題

近年、中国の家庭用美容機器は医療機器の監督が徐々に厳しくなってきています。家庭用美容機器を医療機器管理に組み込むことで、国家食品医薬品局などの監査部門は、より高い基準とより厳格な要件に基づいて製品の設計、生産、販売のあらゆる側面を包括的に監督し、製品の安全性、有効性、コンプライアンスを確保します。法律や規制を継続的に改善することは、市場秩序の標準化と消費者の権利の保護に役立ちます。

調査データによると、中国消費者の購入意思決定に影響を与える要因の中で、消費者が最も懸念しているのは製品機能（68.9％）であり、安全性の問題/関連する医療機器認証の欠如が家庭用美容機器(52.5%)における主な問題点となっていることが示されています。今の中国消費者の美容とスキンケアに対する要求は更に多様化し、単一な基本機能に限られなくなりました。製品品質が様々な家庭用美容機器が数多くあり、製品使用の安全性は依然として中国消費者にとって最も懸念される部分だと考えられます。

一方、中国の家庭用美容機器市場は中国国内ブランドが急速に成長しており、中国国内ブランドが占める市場シェアはさらに拡大していくとみられます。中国消費者の権利と利益を保護するため、国家食品医薬品局は家庭用美容機器、特に高周波美容機器に対する監督を強化しています。監督強化の文脈で、企業は技術革新と製品の研究開発にもっと重点を置き、国家基準を満たす家庭用美容機器製品を生産し、業界の健全で秩序ある高品質な発展を確保する必要があります。規制政策の導入により、業界は高品質に発展傾向を示しており、市場規模は今後も成長すると予想されています。

中国の家庭用美容機器市場の開発における課題としては、主に業界標準の欠如、技術研究開発とイノベーション能力の不足、無秩序な市場競争、規制政策の遅れなどが挙げられる。これらの問題点を解決するには政府、業界団体、企業、消費者が共に協力して技術研究開発を強化し、業界標準の策定と市場改善、市場競争行動の標準化、規制政策の策定と実施を強化する必要があります。

中国美容機器市場の発展につれ、関連監査部門は家庭用美容機器業界の関連基準を意識的に改善し、市場競争や一連の措置を規制し始めています。国家食品医薬品局の「『医療機器分類目録』の一部調整について」によると、2024年4月1日より、医療機器登録証明書を取得していない高周波治療器および高周波皮膚治療製品は、法律に基づき製造、輸入、販売することはできません。これは家庭用美容機器業界が正式に厳しい監督を受ける「機械式」製品に移行し、アップグレードされたことを意味しています。しかし、新たな規制が施行されてから間もなく、市場に出回っている医学的に認定されたブランドの数が少ないため、新しい規制の施行時期は2024年4月1日から2026年4月1日に延長されました。

参考資料：

艾媒咨询 | 2024年中国家用美容仪行业消费者洞察研究报告

小家电产品抗衰？家用美容仪功效宣传待规范（新华网）