中国シニア┃可哀想な老人が配信する「深夜のライブコマース」:利益の90%はMCN機関に寄付

中国シニア┃可哀想な老人が配信する「深夜のライブコマース」:利益の90%はMCN機関に寄付

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最近、ライブ配信者は美男子や美人だけでなく、全く経験のない、ライブで戸惑っていると見えそうな老人たちもライブ配信者となっています。しかし同時に、相場師と詐欺師がその裏面で暗躍し、MCN機関はライブコマース利益の90%を持ち去り、10%しか残さないということです。catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。

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薄暗く、ボロボロな部屋の中で、1人の涙が潤んでいる白髪の老人がいます。

深夜、夜明けごろに抖音のライブチャネルを開くと、いくつかの「特殊」なライブルームが目に入ります。そこには言葉さえもはっきりしない老人が座り、疲れた顔でカメラを見つめながら何度も「ありがとう」と繰り返します。これらのライブルーム視聴者数は、数十人から数百人、時には千人にも及び、その中にはギフトをあげる人やライブで販売している商品を購入した人も多数います。

コメント欄には心優しいユーザーからの注意が散見され、「おじいちゃん、体に気を付けて」「こんなに遅い時間だから早く寝ましょう」「おばあちゃん、休んでください。疲れたら終わりましょう」といったものがありますが、老人たちはいつも何時間も続け、最後には疲れて言葉が出なくなってもライブを終わらせないです。

直近の数年間で中国のライブ配信業界は発展を遂げ、ライブ配信者は美男子や美人だけでなく、全く経験のない、ライブで戸惑っていると見えそうな老人たちもライブ配信者となっています。しかし同時に、相場師と詐欺師がその裏面で暗躍し、チームが故意に老人の身元を偽造し、彼らが金を集めるための「プロモーションの裏技」に変える例も増えています。

01.「同一」のライブ配信

よく見ると、深夜にライブ配信している老人配信者たちはほぼすべて、同じようなレッテルを貼られており、一言で表すと「惨め」です。

これらの老人配信者の多くは、アカウントのプロフィールや自分で投稿するショートビデオでライブを始める理由を紹介しています。例えば、「明标的妈妈」(アカウント名)は、「私は広西南寧横州の農村出身で、四肢麻痺の息子の面倒を見みている、生計を立てるためにライブをやむなく始めた」と述べています。「大姑娘百货优选」(アカウント名)は自分のプロフィールで、「私と息子の嫁2人ともシングルマザーで、孫の面倒をしているので、ライブコマースで生計をたてる努力をしている」と書いています。

「农村环卫百货店」(アカウント名)は、より具体的に述べており、「今年55歳で、夫が8年前に病で亡くなり、唯一の息子は2年間連絡がつかず、嫁も家を出て行方不明のまま、70歳以上の老人と2人の孫を残して、自分は清掃員として働いて生計をたてている」と述べています。しかし、老人は健康状態が悪く、自分の給料では家族全員の生活費をまかなえず、結果として大きな孫が4歳になっても学校に通えない窮境に陥っています。

「私はただお金を稼ぎ、孫を早く学校に通わせたい。大人になったら、私のように頼りないおばあちゃんにならないでほしい!あなたたちの心配と助けに感謝します。」と、彼女はショートビデオで述べています。

これらの老人たちが示す自分の経験は、ある意味「コピペ」されたような三幕構造の台本のように見えます。彼らは基本的に、貧しい家庭で生まれ、途中で人生の大きな変化に遭遇し、息子や孫が病気になったり、子供に捨てられたり、多額の借金に苦しんだりする人生を送っていましたので、生活に追い詰められ、生計をたてるためにライブ配信を始めたというものです。

そして、「老人ライブコマース」の中で販売している商品も非常に類似しています。最も一般的なのは9.9元(200円程度)のゴミ袋で、クッキー、石けん、ハンガー、ヘアゴムなどの雑貨や生活用品が中心で、単価は数元から数十元までさまざまです。「老王的小卖部」(アカウント名)を例として挙げると、このアカウントで販売している商品で、最も安いのは7.9元の石鹸やヘアゴムで、最も高いのは89元の日焼け止めスプレーです。

これらの老人ライブ配信者のアカウントの商品選定は、都市の若い女性の好みに合致しており、アカウントの主要なフォロワープロファイルとも一致しています。

振り返ってみると、これらの老人ライブ配信者は常にネットユーザーの憐れむ心を刺激するために「貧しい」とか「可哀想な」イメージで登場します。若者は元々ショートビデオ・ライブプラットフォームの主要なユーザーであり、その中でも多くの女性は同情心が強く、自然に老人配信者に対して支援の主力となりました。

锌财经がいくつかの老人主演者のアカウントデータを統計し、「蝉妈妈」(ほかのEC研究機関)のデータによると、これらのアカウントの女性ファン比率は平均69%に達し、18〜30歳のユーザー層が73%を超えていることがわかりました。

商品の選定における「心を込めたデザイン」は、一部の老人配信者に良好な売上データをもたらしています。例えば、「老王的小卖部」の「商品櫥窗」(オンライン店舗)には229点の商品があり、すでに6万点以上が販売され、購入者数は5.7万人を超えています。報道によれば、「赵老汉百货超市」は6ヶ月で約13万元の収入を達成したことを明らかにしています。

02. 収益は全部他の人に

貧しい生活を送っている老人たちが、ライブコマースで自立しようとする試みは理解できますが、注目すべきなのは、老人配信者たちの物語が真実であるかどうかが不明であり、ライブ配信で得た寄付やライブコマースで得たお金が、彼らの手元に入るかどうかも保証されません。

SNSでは、多くのユーザーが、深夜に老人が商品を販売するライブ配信を見かけ、「午前1時や2時に老人がライブをするのは合理的ですか」「老人は監視されているのではないか」「こんなに疲れているのになぜずっと立って下がらないのか」といった疑問をコメントで投げかけると、すぐに発言制限をされたり、ライブから追い出されると報告するユーザーも多くいます。

ただの老人のライブコマースに見えるのですが、裏では見えない手が配信している彼らを操っているようです。

例えば、「大姑娘百货优选」の場合、锌财经が最近のライブで気づいたのは、配信者のおばあさんはかなり長い間椅子に座っており、時折額を手で押さえて不快そうな様子でした。しかし、ライブの視聴者が1,000人を超えると、老人は再び立ち上がって商品を持ちながら、「みなさん、ありがとうございます」と声をかける必要がありそうでした。

ライブ配信のコメント欄では、10分足らずの間に、锌财经がアカウント運営関係者と思われるユーザーを少なくとも5つ以上発見しました。これらのアカウントは報告されたらライブ視聴が制限されるからみんな「休憩しなさい」などのコメントを寄せないで、「お願いだよ、おばあさんは昼間に農作業があるんだ。夜しか時間がない」、「おばあさんは泣いていない、ただ目が不快だ」、「みんなできるだけ小黄車(オンライン店舗のこと)を見て、注文して、そうしたらおばあさんは早くライブを終了できるよ、お願いだよ」といったコメントを繰り返し送っていました。

このようなコメントの目的について、一つは抖音で禁止されたワードを使用しないこと、もう一つは視聴者が十分な量の注文をしない限り、配信者のおばあさんはライブ終了できないということです。配信者のおばあさんのアカウント全体が専門的なアカウント運営団体によって運営されている可能性が高いです。

「大姑娘百货优选」のような老人ライブコマースは例外ではなく、昨年、BilibiliのUP主(投稿者)「康哟喂」が老人ライブの地域を実地訪れたところ、農村を舞台にし、貧しい身世の老人主演者は、おそらくMCN 機関によって演じられたものだと報告しました。

「康哟喂」の調査によれば、老人ライブコマースは迅速に収益化できるため、多くのMCN機関は特定の地域で適切な老人配信者を探しに行く行動がよく見られます。老人の収益配分率は通常10%程度で、ライブコマースの収入の大部分はMCN機関が奪っていました。

利益のため、多くの不正規な機関が老人のライブを富の「プロモーションの裏技」と見なしているようです。

03.助けと欺瞞が共存"

しかし、嘘の背後の真実は、想像以上に複雑かもしれません。

客観的に見ると、一部のMCN機関は「可哀想な老人」の名でお金を稼いでいると言えども、彼らは一部の老人の生活をある程度改善していることも事実です。「康哟喂」の潜入で、ライブコマースをやっている老人たちは多かれ少なかれ嘘をついているかもしれませんが、多くの場合「貧困と孤独」が現実です。

例えば、「康哟喂」が最初に訪れた老人、「牛爺爺」(仮名)は、自らを退役軍人だと称し、息子ががんを患い、嫁がそれを理由に家を飛び出し、5歳の孫を残して去ってしまったと語ります。家庭の重荷はすべて彼にかかっており、やむを得ずライブコマースでお金を稼がなければなりません。しかし、実際は、嫁は存在せず、孫は借りてきたものであり、息子はがんではなく、仕事中に腰を傷めただけで、後には回復していました。

しかし、「牛爺爺」の住んでいる部屋は非常に厳しいもので、電線の老朽化により焼けた台所はまだ屋根がないままです。牛爺爺は昼間から畑で野菜を植えながら働き、夜はライブをしなければなりません。彼自身も「あまりにも辛い、辛すぎてこれはやりたくない」と言っています。

確かに、「牛爺爺」は視聴者を騙していたのは事実だが、彼は生活の悩みも存在しています。MCN機関はライブコマース利益の90%を持ち去ったが、残された10%の利益は、彼の家族を生活改善できるかもしれません。「牛爺爺」は多くの老人配信者の象徴でしょう。

抖音安全センターの担当者は、「プラットフォームは特に「生活困難」「老朽化した自宅」「置き去りにされた老人と若者」などに関する虚偽のコンテンツを捏造し、かつ営利行為が存在するアカウントに対して巡回の強化を続け、視聴者の愛情を騙し取り、不当なマーケティングなどの「偽チャリティ」コンテンツやアカウントに対して重点的な調査を実施し、存在する場合は厳格な処分を実行する」と述べました。

厳しい規制措置のもとで、「老人ライブコマース」は新時代を迎えるかもしれません。しかし問題は、真偽が交錯する老人配信者たちに対する判別が難しいことです。

困難は依然として続いています。


元記事: 深夜直播间里“卖苦”的老年人:熬夜赚下100块,90块给了MCN

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