ブランド品や純正のものとではなく、品質や使い勝手などで遜色がないものの「平替」にするライフスタイルは最近中国で流行っています。本文は、この「平替経済」の真の「市場先駆者」は2016年4月にオープンした老舗のECプラットフォームである「网易厳選」と1年間で「网易厳選」が8年もかかった成果を達成したラッキな「模倣者」の「1688厳選」について両者のビジネスモデルなど詳しく解説しました。catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。
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「以前はハイブランドのバッグを買おうと思っていたが、店舗で品切れのためにたくさんの中古業者さんと連絡を取り、数ヶ月待っても届かなかった。(気持ちが)結構落ち込んだので、仕方なく代わりの「平替」にしました。」と妙妙さんが語っていました。
妙妙さんが自分はもう「平替族」の一員になったと考えています。
「パリ旅行の料金が払えないではなく、ハルビンの方がコスパ高い」から、「ダウンジャケットは買えるけど、军大衣(ミリタリーコート,中国軍隊用の防寒服)にする」というように、ブランド品や純正のものとではなく、品質や使い勝手などで遜色がないものの「平替」にするライフスタイルは最近中国で流行っています。「微信指数」のデータによりますと、2023年上半期、「平替」という言葉の検索数は22万回に達し、下半期には660万回に達しました。また、小紅書(RED)では、「平替」に関連するコンテンツ数が200万を超え、lululemonの「平替」の閲覧数は1.5億回を超えました。
これにより、「平替」商品が多く販売している「1688」も注目を集めています。ユーザー数、店舗数、連携工場数を含む多くのビジネス指標が、「1688」設立以来の歴史的な最高記録を達成しました。その中で、ブランド品の「平替」を中心に据えた「1688厳選」は、わずか1年での売上高が3000億元を超えました。
「平替」と「厳選」について話すと、真の「市場先駆者」は2016年4月にオープンした老舗のECプラットフォームである「网易厳選」他にはないです。当時、网易の創業者である丁磊氏は、傘下の「网易厳選」と「考拉电商」の業績で3〜5年以内に再び「次の网易」を創造すると公言しており、それは丁磊氏が「平替経済」に対する期待を示しています。
ここ数年、网易の財務報告書には「网易厳選」の具体的なGMVが公表されていませんが、「网易厳選」を「イノベーションビジネスおよびその他」セクションに含め、総合的な収益状況を公表しています。
网易の2023年11月の最新の財務報告書によると、「イノベーションビジネスおよびその他」セクションの四半期売上高は19.8億元であり、2023財年の最初3四半期の売上高は58.9億元となっています。
市場分析家は、「网易厳選」は自営業モデルであり、売上高とGMVの差異はあまりないと考えています。そのため、財務報告によると、「网易厳選」のGMVはおそらく1000億元を超えていると推算できます。
「1688」は1年間で「网易厳選」が8年もかかった成果を達成しました。これは、現在の「平替」経済の「加速度」を示しています。しかし、网易の自営モデルや1688のプラットフォームモデルなど、どちらも共通の課題に直面しています。それは、現在の「平替」消費ニーズの背後にあるユーザー数はどの程度ですか?現在の「平替ブーム」はいつまで続くのでしょうか?EC業界にあるさまざまな「网易厳選」は、ブランド品や下位のECプラットフォームからの「挾み撃ち」にどのように対応するのでしょうか?このビジネスはいつまで続けられるのでしょうか?
一、M型社会から生まれた「平替経済」
「平替」への需要は昔から存在しています。過去1年間、Z世代の「情绪价值」(Emotional Value)要求と「新中産階級」の商品へのコスパの要求が、「平替経済」の急速な成長を後押ししています。
消費観念の変化は社会経済の発展と密接しています。
経済学には「M型社会」という言葉があり、これは、日本人の研究者である大前研一が提唱した概念で、簡単に言うと、M型社会は中産階級の崩壊である:経済成長が鈍化すると、資本収益の増加速度が労働収益を大幅に上回り、より少数の人々がより多くの富を集中させ、中産階級が崩壊・分離され、その中に、富裕層に入れる人はわずかだけであり、中産階級の大部は中下収入に移行しました。それと比べ、収入の下位層と上位層の人数が増え、最後に社会の収入構造が左右の両極に向かって高み、中間に谷底を持つ「M型社会」へと移行します。
アメリカと日本もこのような「M型社会」の構造を経験しました。
収入の変化が消費の変化をもたらします。M型社会の変化が中間層に及ぼす影響は、社会全体の消費観念と消費水準に影響を与えています。
WTO加盟により、グローバルサプライチェンの参加から、中国経済は急成長の20年を経っていましたが、近年、経済成長が鈍化しています。コロナの禍をはじめ、人口高齢化などの問題により、今日の中国中産階級は消費選択に対してより慎重の行動を取り、中国式の「M型」特徴がより明確に現れています。
一方、「困窮になった」新中産階級は、消費品のコスパを追求し、余計なことにお金を払うことはもはや望ましくなく、生活品質のレベルを下げることはしたくありません。他方、まだ「まだ出稼ぎしていない」若者のZ世代にとっては、商品のブランド価値が必要とせず、商品の「情绪价值」を求めています。
この背景で、「高価なものは買えるが、高くは買えない」というスローガンが生まれました。
「平替消費」の背後にあるのは、消費の高度化でも、消費の低度化でもありません。また、「海外の商品が優れている」という外国を媚びる消費の「右への移動」を信じることでもありませんが、それはむしろ、国産の商品や国内の自信に満ちた消費の「左への移動」です。同じ商品、同じ原産地、同じ工場、同じ技術、同じ素材の商品だけが、「平替」と呼ばれます。
二、先駆者の「网易厳選」
「网易厳選」は間違いなく、国内での「平替経済」の先駆者です。2016年の設立以来、「网易厳選」は長い間、自社を「自営モデルECプラットフォーム」と位置付けてきました。
当時の「网易厳選」は、ODMモデルで新中産階級に惹かれ、創立からわずか4か月で2300万人の登録ユーザーをゲットした好成績を取りました。「网易厳選」は自社のブランド理念である「良い生活は高価ではない」に従い、大手ブランドに劣らない且つ市場の商品よりも低価格の商品を提供しています。
価格面では、「网易厳選」はほぼ大手ブランドの3分の1の価格で商品を販売していますが、初期の「网易厳選」は、供給源の多くを1688からの工場カスタマイズから得ていました。
2017年、网易は初めてEC事業の運営状況を財務報告書で開示しました。年間のEC純収入は1167億元で、前年比156.9%増加し、网易の総収入の21.57%を占めています。これは「平替消費」への潜在的な需要の高まりを示しています。
また、2017年の中国消費の高度化から、「新小売り」が中国EC業界のトピックとなり、2020年のコロナ禍の前まで続きました。
消費高度化の時流で、「平替」商品への需要の成長は鈍化していました。2018年には、「网易厳選」は2000億元のGMV目標を設定しましたが、達成されませんでした。
2019年、「网易厳選」は自身の位置付けを再考し、若者向けのライフスタイルブランドに転換しました。ブランド化の発展段階に入り、ほぼすべての主要なECプラットフォームで独自のブランドオンラインストアを開設しました。
2021年、「网易厳選」のCEOである梁鈞氏は、メディアのインタビューで、「最初はMUJI(無印良品)のようにしたいと思っていましたが、最終的にはその道を選択しませんでした。MUJIはバブル時代に生まれ、宴三昧の日々は過ぎ去り、皆が精神的な安定さを求めました。しかし、中国はそうではないし、皆がまだブランド品に惹かれています。私たちは中国独自のZ世代や新中産階級と感情的に共感したいと思っています。」と述べています。
明らかに、「网易厳選」は2021年の市場環境が「平替経済」には最適でない可能性があることを認識しました。同時期に、1688の工場から直で消費者への販売プロジェクト「厂货通」もそれほど成功しませんでした。「平替」市場の全体的な不況が明らかでした。
実際、2017年から2020年までの全体的な一人当たり消費支出を見ると、中国の一人当たり消費は10%を超える成長を続けており、2020年になってようやく緩んでいました。この時、多くの主要なECプラットフォームの多くの戦略は依然として「品質向上」でした。
「网易厳選」は最初に平替需要を見据え、その需要を把握しましたが、その需要はその時代において主流の需要ではなく、ユーザーの心理や外部環境の面で不足していました。したがって、成長は続いていましたが、爆発的な成長は見られませんでした。
三、ラッキな「模倣者」1688
「网易厳選」に比べて、2022年9月に、正式にビジネスを立ち上げた1688严选は後発です。
一覧商业によれば、1688严选が迅速に発展できるのは、「時」の要因だけでなく、両者のビジネスモデル、ユーザー、サプライチェーンにも大きな違いがあるからです。
まず、ビジネスモデルの観点から見ると、「网易厳選」は商品を調達して自社のブランドとして販売する「自営」のモデルである一方、「1688厳選」は「プラットフォーム」モデルであり、ECプラットフォームとして先進的な製造能力を持つブランドOEM工場や産業クラスターのブランドにマーケティング能力や場所を提供し、EC販売の各段階における問題を解決するモデルで経営しています。
次に、ユーザープロファイルから見ると、「网易厳選」はB2Cの小売業を対象としていますが、「1688厳選」はB2Bで、取引額の90%を占めているプラットフォームや店舗、コンテンツ&ソーシャルコマースの販売者、実店主としての小規模なバイヤーに対してより多くのサービスを提供しています。
最後に、サプライチェーンから見ると、「网易厳選」は中心化したサプライチェーンモデルを採用しており、商品を自らの手に取り、ブランドマーケティングを通じて顧客に販売しています。「1688厳選」は分散型のサプライチェーンを採用しており、お客様の需要を先に発見し、小紅書(RED)で優れたOEM工場を見つけ出し、ユーザー需要の情報を工場に低価格で提供することで、中間コストを削減しています。
「网易厳選」と「1688厳選」の両社は、「厳選」(Collection)を通じて消費者と工場を直接結びつけ、ブランドコストを取り去り、消費者の「平替」需要に応えようとしていますが、両社は異なる課題に直面しています。
「网易厳選」は、「バイヤーショップ」のようなサプライチェーンを採用しています。消費者のショッピング体験を向上させるために、「网易厳選」は一時的に多額の資金で複数の都市に倉庫を立ち上げましたが、これはコストを高く押し上げ、純利益が減りました。
ブランド運営への転換や全チャネルでの獲客強化は、現在の「网易厳選」にとってはより良い解決策です。梁钧氏の言葉のように、外部獲客チャネルの構築はコストがかかりますが、「网易厳選」は一定の総利益を確保できれば、快速に新規顧客もゲットでき、最後にサプライチェーンに還元しコスト削減ができます。
一方、「1688厳選」は「工場直販」プラットフォームモデルを採用し、需要情報を大手ブランドのOEM工場へ直で発注し、規模経済を活用して商品品質と価格競争力を向上させます。
「网易厳選」とは異なり、「1688厳選」はサムズクラブ(Sam’s Club)などの大手のサプライヤーを直接見つけ出し、需要情報を工場に直で提供するため、中間コストを削減しています。したがって、「1688厳選」は、「网易厳選」よりも低コストで商品を手に入れることができ、真の「大手ブランド平替」を実現し、大手ブランド商品の価格の10分の1にすることができます。
もちろん、「1688厳選」が本当に「大手ブランドの平替」の戦略を成功させるには、多くの現実的な問題を解決する必要があります。
まず、1688はB2B業務と深く関わるECプラットフォームであり、多くの大手企業が参入しています。したがって、「1688厳選」はB2Cのビジネスに焦点を当てる主流のECプラットフォームと比べ、商品の配達、プラットフォームの運営、アフターサービスの面で十分な競争力を持っていないです。商品が安価であっても、配送の時效性やアフターサービスを確保できなければ、消費者の信頼を得ることはできません。
一方で、大手ブランド品の加工工場が関与するため、著作権問題は無視できません。ブランド品の加工工場の名で商品を宣伝すると、他ブランドのブランド効果で商品を販売することと同じです。したがって、「1688厳選」はマーケティングの面でもリスクが高まり、現在、1688は一部のブランドの加工工場と機密保持契約を締結し、このリスクを回避しようとしています。
「1688厳選」の毎月300億元以上のGMVは、先駆者の「网易厳選」よりもラッキであることを示しています。しかし、消費トレンドを把握することはビジネスを成功させるための最初のステップに過ぎません。ロイヤルティーを維持するには、商品の品質管理、配送、アフターサービスの保証が欠かせません。
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