コロナ禍以前は訪日外国人の中で最も多く占めていた訪日中国人は昨年から解禁されていたが、インバウンド回復はほかの国・地域と比べてかなり遅いといわれています。この記事では、訪日中国人観光客の動向や訪日旅行のニーズについて解説します。
- X (旧Twitter) で投稿
- LINEで送る
- Facebookでシェア
- URLをコピー
1.中国人が選んだ人気の海外旅行先~日本が上位となりました~
日本も中国人観光客にとって非常に人気のある旅行先です。特に東京や大阪、京都などの都市が好まれます。昨年から日本へのビザの発給が簡単になったため、ショッピングや食文化や観光を楽しむために、多くの訪日中国観光客が訪れてきます。
日本政府観光局(JNTO)が5月15日に発表したデータによると、2024年4月の訪日観光客数は304万2,900人となり、連続で月間300万件を突破し、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年4月と比べて4.0%増、しかも連続2ヵ月の増加となりました。さらに、国・地域別では、韓国からの訪日観光客は66万1,200人で2019年4月比16.7%増、中国本土からの訪日観光客は53万3,600人で2位で2019年4月比26.5%減となりました。今年に入ってから、国際線の運航再開も訪日観光客増加の要因だと考えられます。
さらに、C-tripが発表した「2024年ゴールデンウイーク観光トレンド洞察レポート」によると、今年の中国の人気アウトバウンド目的地で日本が第1位となりました。民宿予約フォーム「Airbnb」のデータによると、2024年の春における最も人気のある検索目的地リストのトップは日本でした。「HangluZongheng(航路縱横)」のビッグデータによると、4月30日時点で、ゴールデンウイーク年休中における日本行きの国際線航空便は1,300便以上が計画され、日本発着の国際線航空券の予約数は既に13万枚を超えたとわかりました。
その理由としては、日本円の対アメリカドルが34年ぶりの安値まで下落したことにあります。「ゴールデンウイークと売られ過ぎた日本の為替レートにより、旅行代金は4年前の25%割引に相当する」と旅行会社関係者はニュース記者に語りました。日本で観光を楽しむほか、買い物するのも最適な時期だと考えられます。これも訪日中国観光客の回復の主な理由の1つでしょう。
2.訪日中国観光客が日本旅行に対して期待していること
訪日中国観光客が日本旅行に対して期待していることは多岐にわたります。
世界中にも知られている日本製の商品の品質と信頼性は、中国人観光客にとって大きな魅力です。例えば、化粧品、電化製品、ファッションアイテム、健康食品などが人気です。特に近年健康をさらに重視する中国人にとっては、日本製商品を求めて、日本に訪ねる中国人観光客が少なくないといえよう。
また、観光地と自然を楽しむために来る観光客が多くいます。特に、桜の季節や紅葉シーズンに訪れる観光客が多く、四季折々の自然を楽しむことが期待されています。富士山、京都の寺院、北海道の美しい風景なども人気の観光スポットです。日本の自然や伝統文化を体験することが一つの大きな魅力となっています。
日本料理も大きな魅力の一つになっています。寿司、ラーメン、和牛、スイーツなど、日本ならではの料理を楽しむことを期待する観光客が多いと思われます。また、ミシュランガイドに掲載されているレストランや地元の人気店を訪れることも旅行の楽しみの一部となっています。
日本の温泉文化を楽しむには、箱根や別府、草津などの温泉地を訪れて、リラックスしながら日本の伝統的な温泉文化を体験することを期待しています。温泉旅館での宿泊も人気です。さらに、日本の伝統文化や現代文化に触れることも大きな期待要素です。例えば、着物の試着や茶道体験、祭りに参加、さらにはアニメやマンガ関連の観光も人気があります。東京の秋葉原や関西エリアの京都の伝統文化体験はその代表例です。
一方、日本の治安の良さや高品質なサービスも期待されています。清潔で安全な環境、そして親切で礼儀正しいサービスは、中国人観光客にとって大きな魅力です。
訪日中国人観光客は、これらの期待に基づいて、訪日前に計画しています。観光業界はこれらのニーズを把握し、適切なサービスと情報提供を行うことで、さらなる満足度向上を目指していくのが最適なのでしょう。
3.これからの中国訪日観光客の市場について
中国人観光客は、訪日外国人全体の中でも特に消費額が高い傾向にあります。2023年のデータでは、中国人観光客の消費額は依然としてトップを占めており、2024年もこの傾向が続いています。
日本政府観光局(JNTO)が2024年4月17日に発表した、2024年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は1兆7,505億円(2023年同期比73.3%増、2019年同期比52.0%増)と推計されています。国籍・地域別では、中国が3,526億円(構成比20.1%)と最も大きく、次いで台湾2,512億円(同14.4%)、韓国2,379億円(同13.6%)、米国1,716億円(同9.8%)、香港1,543億円(同8.8%)の順である。
国籍・地域別にみてみると、訪日中国観光客は買物代が最も多く占めており、ほかの国・地域と比べ、訪日中国観光客は明らかに「買物代」のほうが圧倒的に高いと見られます。
2024年以降の市場成長見込みとして、中国からの訪日観光客の数は再び増加基調に戻り、観光産業に対する経済効果も大きくなると予測されています。特に、観光シーズン(春節や夏休みや国慶節など)には訪日客数がピークに達すると思われます。
そのため、日本政府や地方自治体は、訪日中国人観光客を受け入れるためのインフラ整備とプロモーション活動を強化する必要があると思われます。例えば、多言語対応の案内表示やキャッシュレス決済の普及、観光案内所での中国語対応などが進められています。また、SNSやオンラインプラットフォームを活用したプロモーションも重要です。
4.まとめ
中国からの訪日観光客市場は、2024年以降に向けて大きな成長が見込まれており、観光業界はこの需要に応えるための準備を進めています。具体的な施策として、多言語対応、プロモーション強化、インフラ整備などが重要となります。これにより、中国人観光客の満足度を高め、持続的な成長を目指すことが求められています。
参考資料:
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2024年4月推計値)
- X (旧Twitter) で投稿
- LINEで送る
- Facebookでシェア
- URLをコピー
コメント
会員登録をすると、コンテンツへのコメントができるようになります!
コメントはありません。