中国人のマナーや文化風習とは?日本との違いや対応方法について解説

中国人のマナーや文化風習とは?日本との違いや対応方法について解説

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中国向けインバウンド事業を展開するうえでの課題の一つがマナーや文化風習の違いです。本記事では、中国人のマナーや文化風習・仕事に対する考え方について解説。加えて、中国人の対人マナーの特徴と中国人が困る日本のマナーや文化風習について詳説するので参考にしてください。

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コロナ禍前まで日本を訪れる外国人観光客数がトップだった中国は、アフターコロナの訪日客が低迷。その後、2023年後半から急回復を見せています。JNTOの発表によると、2024年4月の訪日中国人観光客数は533,600名で韓国に次ぐ2位。前年同月と比較した伸び率は392.7%と、急激に増加しています(※1)。

訪日中国人の増加をビジネスチャンスと捉える企業にとって、集客拡大を図る施策の構築が急務です。その一方で、中国人旅行客のマナーを問題視する声が高まっており、対策が求められます。

そこで本記事では、中国人のマナーや文化風習・仕事に対する考え方のほか、中国人の対人マナーの特徴について解説します。加えて、訪日中国人が困る日本のマナー・文化風習や、中国人観光客のマナー問題と対策について詳説。

中国向けインバウンド事業を展開したい企業やこれから事業を拡大したい企業のご担当者は、マナーや文化風習の違いを理解し集客に役立ててください。

※1)JNTO 訪日外客数(2024 年 4 月推計値)

1.中国の基本情報

中国人観光客の集客を増やすには、まずは中国の文化や風土・価値観など基本的な情報を理解しておく必要があります。

1.1 基礎データ

中国の面積は約960万平方キロメートルで日本の約26倍の広さです。気候も多様性に富んでおり、北部の寒温帯から南部の熱帯まで6つの気候帯にわかれています。広大な土地と多様な気候によって、地域ごとに考え方や食文化に違いがあります。

外務省が発表している中華人民共和国(People's Republic of China)基礎データから抜粋したデータをまとめたものが以下の表です。

人口

約14億人

民族

漢民族(総人口の約92%)のほか55の少数民族

宗教

中国語

宗教

仏教・イスラム教・キリスト教など

社会主義のもとで市場経済を導入する社会主義市場経済で急成長を遂げ、GDP(国内総生産)はアメリカに次ぐ第2位。2023年の実質GDP成長率は5.2%です(※2)

※2)ジェトロ(JETRO) 2023年の実質GDP成長率は5.2%、全人代で設定した目標を達成

 1.2 祝日・休暇期間

中国の祝日・休暇期間は、春節や国慶節などの長期間の休暇が年に3回あります。2024年の祝日[4] は、以下のとおりです(※3)。

日付

名称

概要

1/1

新年

新暦での元旦

2/9~17

春節

旧暦の正月で中華圏では最も重要な行事

4/4~6

清明節

先祖に加護と平安を祈る日で墓参りするのが習慣

5/1~5

労働節

労働者が権利主張のために行進や集会をする

6/8~10

端午節

中国詩人の屈原の供養祭が起源

9/15~17

中秋節

旧暦の8月15日にあたる日

10/1~7

国慶節

中国の建国記念日

大型連休となる春節・国慶節は家族で海外へ旅行に出かける方が多く、日本への旅行者も増える傾向があります。

※3)ジェトロ(JETRO) 中国 祝祭日

 1.3 政策・社会問題

2023年の国連推計で発表された世界の人口ランキング1位〜5位は、以下のとおりです。(※4)

  1. インド:1,428,627,663人

  2. 中国:1,425,671,352人

  3. アメリカ:339,996.563人

  4. インドネシア:277,534,122人

  5. パキスタン:240,485,658人[6] 

長らく人口世界1位だった中国はインドに抜かれて2位へと陥落し、2022年から2年連続で人口が減少(※5)。一人っ子政策の影響による少子高齢化が進んでおり、世界各国の経済社会に深刻な影響を与えかねないと懸念されています。

中国では、PM2.5を含む微小粒子状物質による大気汚染が深刻化。微小粒子状物質の吸引による呼吸器や循環器への健康被害が指摘されています。。国務院は2025年までにPM2.5濃度を2020年比で10%削減するとの目標を掲げ、改善を図っています(※6)。

また、中国は世界のCO2(二酸化炭素)排出量の約3割を占めておりで世界1位です(※7)。[7] 2030年までのCO2排出ピークアウトならびに2060年までにカーボンニュートラルの達成を目標に掲げています。

中国は経済格差が大きいのも社会問題の一つです。富裕層はブランド品の購入や海外旅行をおこなう経済的余裕がある一方、地方では子どもなどの人身取引・売買が深刻な社会問題となっています。

※4)国際連合人口部(United Nations Population Division)

※5)ジェトロ(JETRO) 中国、2年連続で人口減、出生数は最低更新

※6)ジェトロ(JETRO) 国務院、空気の質を継続的に改善させるための行動計画を発表

※7)JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター データで見る温室効果ガス排出量(世界)

1.4 性格・価値観

国土が広大な中国は、地域によって文化や気質・言葉(方言)が異なります。中国の首都である北京は、北京大学・清華大学などの有名大学があり教育への関心が高いのが特徴的です。上海は中国経済を牽引しており、中国国内唯一のリニアモーターカーが走行しているなど先進的なエリアです。

また、中国では世代ごとに価値観や考え方に違いがあります。以下の4つの世代に分けて、それぞれの特徴を説明します。

●      第1世代:50后(1950~59年生まれ)

●      第2世代:60后・70后(1960~79年生まれ)

●      第3世代:80后(1980~89年生まれ)

●      第4世代:90后(1990~99年生まれ)

第1世代は、中国の社会や経済政策が大きく変貌した時期に働き、質素で堅実な生活をしていた世代です。第2世代は教育改革の結果大学で高等教育を受けられるようになり、経済成長を支えました。

第3世代は外国経済が流入した世代で、外国文化の影響を受けている世代です。また、一人っ子政策の影響を受けた世代ともいえます。第4世代は、デジタルネイティブの世代で多様性に富んでいるのが特徴です。

このように中国国内でもそれぞれの世代で異なる価値観を持っています。

2.日本とは異なる中国人のマナーや文化風習

中国人には、独自のマナーや文化風習がある点に留意しましょう。本章では、日本とは異なる中国人ならではのマナーや文化風習について解説します。

2.1 中国では基本的にトイレットペーパーを流さない

中国のトイレは水圧が弱く、トイレットペーパーを流さないのが一般的です。また、日本製のトイレットペーパーと違って中国のものは水に溶けにくい材質のものが多いため、トイレットペーパーは備え付けのゴミ箱に捨てるのがルールです。

ただし、近年都市部に設置されたトイレは、衛生面が改善されて近代的な設備を備えているものも増えています。なかには、無線LAN・充電ポートがあるものや、LEDテレビ・冷蔵庫・電子レンジを備えた多目的トイレなども設置されています。

2.2 独自の食事に関するマナーがある

中国には、食事に関する独自のマナーがあります。中国と日本の食事マナーの違いについて解説します。

2.2.1 食事は少しだけ残す

中国では、出された食事は少しだけ残すのが一般的なマナーです。一口分ぐらいを残すことで、食べきれないほど十分な食事を提供してもらったという感謝の気持ちを表現します。残さずに完食することが調理した方への感謝を表すマナーとされる日本の食事マナーとは、違いがあります。

2.2.2 口から出したものは皿に乗せない

中国では、テーブルの上にゴミを置いて、テーブルクロスごとまとめて片付けるのが一般的です。一度口に入れた後の魚や肉などの骨・エビの殻などは皿の上ではなくテーブルの上に置くのがマナーです。日本ではテーブルの上に骨や殻などのゴミを置かないため、マナーの違いに気をつけましょう。

2.2.3 麺類など音を立てて食べない

日本ではラーメンやそばなどの麺類を食べる際に、空気を一緒に取り込んで香りを感じるために音を立ててすするのが一般的です。しかしながら、中国では麺類などを音を立てて食べるのはマナー違反とされるので、注意が必要です。

2.3高速道路や地下鉄で荷物チェックがある

日本の公共交通機関では、基本的に空港でのみ荷物チェックがおこなわれます。中国では、テロ行為や暴力事件を防ぐ目的で高速鉄道や地下鉄でも空港と同じように鞄を検査機に通す必要があります。

また、可燃性のある液体やアルコールスプレー・ハサミなどの持ち込みは禁止です。アルコール以外の飲料でも持ち歩いていると一口飲むように指示されます。

3. 中国人の仕事に対する考え方

中国人の仕事に対する考え方も、日本とは異なる点が多くあります。日本との考え方の違いについて解説します。

3.1【成果主義】年齢や経歴などに左右されない評価制度

中国人は基本的に成果主義で、プロセスよりも結果を重視する傾向があります。勤続年数や仕事の過程に関わらず、実績を出せば評価される点が日本とは異なります。

上司と部下や先輩と後輩といった間柄でも、フラットなコミュニケーションを好むのが特徴です。上下関係があまりなく、基本的に敬語を使用することはありません。

3.2【個人主義】チーム連携より個人の判断力や行動力が大事

中国人は、チームで連携するよりも個人主義の傾向が強いのが特徴です。仕事の手伝いや協力を要請するには明確な理由が必要で、作業工程や道筋を十分に説明しなければなりません。手伝う側が実績を積めるなどのメリットの提示やリーダーの明確な指示が重要です。

ただし、任された仕事に関しては、責任者は自分だと考えて仕事を全うします。成果主義で結果を重んじるため、仕事が完了するまでは報・連・相をおこなわない場合もあります。日本のように何度も進捗確認をすると、信用されていないと判断されかねません。

3.3仕事とプライベートをしっかり分ける

日本では仕事が終わったあとに、同僚と飲み会や食事などでコミュニケーションを取るのも大事だという考え方が浸透しています。

一方、中国人は個人的に仲良くなって食事に出かけることはあっても、仕事の延長で飲みに行く習慣はありません。仕事とプライベートを完全に分けて、家族や友人と過ごす時間を尊重します。

4.中国人の対人マナーの特徴

中国人の対人マナーの特徴を、3つのポイントに分けて解説します。日本との対人マナーの違いを理解して、中国人観光客を受け入れる際の参考にしてください。

4.1 相手の立場を気にせず率直なコミュニケーション

日本人は何かを否定する際などにはっきり言わず言葉を濁す傾向にありますが、中国人はストレートな発言を好みます。ストレートに率直に伝えるのは相手への礼儀だと考えられているため、相手が上司でもしっかり意見を述べる傾向があります。

4.2 義理人情に厚い

中国人は初めての方と打ち解けるまで時間がかかる一方で、親しくなり心を開くようになると困った際に親身になって助けてくれます。家族や友人を大切にし、自分が苦労してでも助けるなど義理人情に厚いのが特徴です。

4.3 簡単に謝らない

日本人は非があるかどうかにかかわらず、場を丸く収めるために「すみません」という言葉を口にしがちです。

中国人にとって謝罪は謙虚さを表すものではなく、「すべての責任をとる」ことを意味します。プライドが傷つく行為であり、メンツを守るためにも簡単に自分の非を認めません。

5.訪日中国人が困る日本のマナーや文化風習

中国人が日本を訪れた際に、自国とのマナーや文化風習の違いに驚くケースも多いでしょう。ここでは、訪日中国人が困る日本のマナーや風習をご紹介します。

5.1 エスカレーターの使い方

中国では、エスカレーターは右側に立ち、左側を開けるのが一般的です。日本では関西地方は中国と同じく左側を開けますが、関東地方は逆に右側を開けるなど、地域によって違うため戸惑う方がたくさんいます。

5.2 温泉・浴場に入る

中国人は、人前で裸になるのに慣れていません。それゆえ、日本で温泉や浴場に入浴する際に、タオルを巻いて入ろうとするケースが見受けられます。受け入れる側の旅館や公衆浴場は、タオルを巻いての入浴はマナー違反であると注意を促しましょう。

5.3 人前で靴を脱ぐ

中国では公共の場で足を見せるのは、礼儀に欠ける行為です。日本のレストランや居酒屋で座敷や掘りごたつの席に案内されると、中国人は靴を脱ぐのに抵抗を感じる可能性があります。

6 中国人観光客のマナー問題と対策

ここまで述べてきたように、中国と日本の両国はマナーや文化風習に多くの違いがあります。本章では、日本を訪れる中国人観光客のマナー問題と対策について解説します。

6.1よく見られるマナー違反行為

中国人のマナー違反の代表例は、トイレットペーパーを流さずにゴミ箱に捨てる行為です。使い方や操作ボタンの説明などの注意喚起が必要です。

また、中国人は公共施設や交通機関内でも大きな声で会話します。中国では、大きな声で話すと明るく元気な印象を相手に与えるとされており、「周りの日本人がうるさいと感じている」と気付いていない可能性があります。

6.2 受け入れる側のマナー対策

訪日中国人にマナーの違いを理解してもらうには、受け入れる側の適切な注意喚起が不可欠です。中国人は人前で批判や注意されるのを嫌うため、日本語や英語・中国語などの複数言語を用いて注意書きを作成しましょう。

受け入れる施設だけでなく、Webサイト上で注意書きを掲載する方法も有効です。Webを活用する場合は、訪日中国人が観光の情報源として閲覧している影響力の高いインフルエンサーにマナー情報の掲載を依頼するのも一つの方法です。

そのほか、AIを活用したチャットボットや翻訳サービスの導入などによる受け入れ体制の強化を検討しましょう。

6.3インバウンド対策の重要なポイント

中国では、インターネット検閲システムが導入されており、日本で日常的に利用できるWebブラウザやアプリが閲覧できません。それゆえ、LINEやInstagram・X・YouTube等での発信・投稿のみでは情報が伝わりづらい点に注意が必要です。

訪日中国人に向けて情報発信する際は、中国独自のSNSやアプリを有効活用しましょう。

7.まとめ

コロナ禍で減少した訪日中国人は、2023年後半から急速に回復しています。それにともない、受け入れる側のマナー対策と体制強化が急務です。

本記事では、中国と日本の違いについて、マナーや文化風習の観点から解説しました。加えて、日中両国の仕事に関する考え方の違いや対人マナーの特徴のほか、訪日中国人が困ることについて詳説しています。

訪日観光客の増加は、中国向けのインバウンドビジネスへの参入を後押しする要因となりうるでしょう。参入を検討している企業のご担当者は、マナーや文化風習の違いを十分に理解し、対策を講じるために本記事を役立ててください。


参考資料:

中国人と働く上で知っておきたい、性格・考え方・価値観

中国人の性格や特徴、価値観は?地域や世代別の考え方の違いについても解説

中華人民共和国(People's Republic of China)基礎データ

中国の祝日・休日『早見カレンダー』2023年/2024年/2025年

大気汚染

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