中国市場┃中国におけるペット用食品市場の発展と展望

中国市場┃中国におけるペット用食品市場の発展と展望

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近年、世界のペット市場規模は絶えず拡大している。現在はアメリカが世界最大かつ最も成熟したペット経済国として、2021年には業界規模が1236億ドルに達し、ペットを飼育する家庭の浸透率は70%に上る。中国では社会経済の急速な発展と共に国内のペット需要と受け入れが次第に高まり、ペットの数も増加。ペットを飼育する家庭の浸透率は2012年の12%から2021年には25%に向上し、そのうち一級都市と二級都市では39.1%に達した。しかし、アメリカなどの先進国と比較すると、依然として大きな差があることから、中国のペット市場にはまだまだ大きな成長余地があると想定される。

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Pexels:MART PRODUCTION撮影

中国におけるペット産業現状

近年、世界のペット市場規模は絶えず拡大している。現在はアメリカが世界最大かつ最も成熟したペット経済国として、2021年には業界規模が1236億ドルに達し、ペットを飼育する家庭の浸透率は70%に上る。中国では社会経済の急速な発展と共に国内のペット需要と受け入れが次第に高まり、ペットの数も増加。ペットを飼育する家庭の浸透率は2012年の12%から2021年には25%に向上し、そのうち一級都市と二級都市では39.1%に達した。しかし、アメリカなどの先進国と比較すると、依然として大きな差があることから、中国のペット市場にはまだまだ大きな成長余地があると想定される。

中国におけるペット用食品市場の推移

筆者は中国人家庭の中で小型犬を飼っている。家庭内では「残飯をあげれば」とか、「いや、人間の食べ物を犬にあげるのはダメ、塩分が高すぎて健康に悪い!」、「犬にもグルコサミンを買ってあげないと。特に小型犬は骨が細いから、今からケアを始めないと」という様な色々な会話が飛び交っている。このような会話は我が家だけでなく、他の家庭でもよく見られるそうだ。近年、ペットを飼う人々が若年層にシフトするにつれ中国国内のペットに対する飼育理念も次第に変わりつつあり、「健康」や「科学」的なキーワードを中心とした飼育が徐々に主流となっているようだ。

現代の様なペットブームの遥か前、一部の家庭ではペットの主な食事は飼い主の残り物等がメイン。その後、一部の経済が発展した都市であっても一般的なドッグフードやキャットフードなどが中心となっていった。しかし現在では、バリエーションも格段に増え、ペット用のおやつや栄養補助食品の種類や売り上げが増え続けている。また、若い世代のペットオーナーはペットの食事の健康に注意を払うようになり、高級、有機、天然などの高品質なペットフードの市場シェアも徐々に拡大し、現在の中国ペットフード市場は次第に細分化、精密化、専門化、科学化の方向へと進んでいる。

Unsplash:Krista Mangulsone撮影

中国ペット市場における消費者環境

中国ではソーシャルメディアや動画プラットフォームの台頭に伴い、他人のペットとネット上で交流し、「仮想飼育」をする人も増えている。

2023年にはパンダが竹を食べる動画がネットで大流行し、多くの人が「動物が食べるのを見るとすごく癒される」とコメントをしていた。

現在では多くの人が様々なネットプラットフォームを通じてペットを見たり、フォローしたり、交流を楽しんだりして、コメント欄での交流やライブ配信を通じてフォロワー側が「仮想飼育」を体験することも多くなっている。

例えば下の写真のように、ボーダーコリーが食事をするだけの動画がなんと27.7万の「いいね」を獲得しており、ネットユーザーの注目が伺える。「仮想飼育」により、実際にペットを飼っていない人々も、ペットを飼う癒しと楽しさを感じられる環境が構築されている。

中国ではECビジネスの発展に伴い、小紅書(Red)を代表とする静止画プラットフォームや、抖音(TikTok)、快手(Kuaishou)を代表とするショート動画プラットフォーム、およびライブコマースプラットフォームが、人々の消費方法を大きく変えた。これはペットフード製品の普及と販売にも影響を与え、より広範なユーザー層にリーチすることが可能となった。

ちなみに、ペットを飼う主要な人々は上記の様なオンラインプラットフォームからペットに関する知識を収集している傾向が高い。

情報収集をする際に使用するプラットフォームとしては小紅書(Red)が53%、ショート動画プラットフォームが43%、ポータルサイトが35%となっている。

中国において、ソーシャルメディアとは、ペットを飼う主要な人々に対してペット製品への「興味喚起」を引き起こす主な手段となっている。

実際にソーシャルメディアを見た時に、ある商品やサービスに対し興味喚起される、と回答した人は小紅書(Red)で52%、ECプラットフォームで45%、ショート動画プラットフォームでは35%となっている。

購入段階では、欧米の先進国でペットフードの販売が主にスーパーや大型店舗を通じて行われているのとは異なり、中国の消費者はECチャンネルでの購入をより好む傾向がある。

7割以上の消費者がタオバオや天猫のようなECプラットフォームを通じて注文を行い、特に近年急成長し注目されているライブコマースは販売量を増やすだけでなく、ブランドの露出度やユーザーの粘着性も向上させると言われている。

ライブコマースの「即見即買」モデルは、消費者がライブを視聴しながら直接注文できるため、購入決定までの時間を短縮し、衝動買いを促す。

例えば、2023年には抖音(Douyin)ECのペット業界の取引金額指数が前年同期比で138%増加し、そのうち猫の主食が148%増加、猫のおやつが107%増加、犬の主食が98%増加した。

最後に、消費者はソーシャルメディアやECプラットフォームで自分の購買体験をシェアすることが多く、こうしたリアルな購買体験のシェアが、再び主要な消費者層の購買決定に影響を与えます。これにより、認知から興味を持つ段階、購入、そして最後にシェアするまでの一連の購買決定の流れが形成されている。

まとめ

中国の若い世代を中心としたペットニーズと健康的な飼育理念の増加に伴い、今後のペットフード市場はさらに細分化・高級化すると予想されると同時に、ソーシャルメディアやECプラットフォームがプロモーション、興味喚起、販売において持つ影響力は今後も拡大傾向が続きそうである。

中国のペットフード市場は今後数年間で継続的な高速成長が期待され、世界のペット経済の中心になり得るかもしれない。

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