（一）中国のマイクロ短編ドラマとは

2022年11月14日、中国国家テレビ総局は「オンラインマイクロ短編ドラマの管理の強化と創作改善計画の実施に関する通知」を発表し、オンラインマイクロ短編ドラマを「単回時間は数十秒から15 分ほどあり、比較的に明確な主題と主軸、そして比較的に連続的で完全なストーリー性を備えた新興オンライン文学ジャンル」と再定義されました。

iiMedia Researchが発表した最新の「2024〜2025年の中国マイクロ短編ドラマ市場及び海外市場分析報告書」によると、回答者の95.11％が視聴したことがあり、または視聴していると回答しました。多くの国の既存ユーザーは将来的に中国から海外に輸出した短編ドラマを通じて、エンターテイメントサービスに料金を支払う意思のあるユーザーの割合を上回っているとわかりました。

（二）市場規模：オンラインのマイクロ短編ドラマの数が急増、爆発的な成長期へ

中国のオンラインマイクロ短編ドラマの市場規模は増加傾向にあり、2023年の中国のオンラインマイクロ短編ドラマの市場規模は前年比267.65%増、373億9000万元に達しています。中国のオンライン超短編ドラマの市場規模は、2027年に1,000億元を超えると予想されます。中国のオンラインマイクロ短編ドラマ市場は爆発的な成長期に入り、中国のマイクロ短編ドラマの海外輸出も積極的な影響力を持っています。

（三）業界動向：地域文化を開発し、高品質なエンターテインメント内容を発信

高品質なコンテンツと多様なアイデアは、海外のマイクロ短編ドラマの絶え間ない発展の源だといえます。中国の国家政策により、マイクロ短編ドラマは中国文化の対外発信者となるのが奨励されているため、マイクロ短編ドラマ業界はローカライズされたコンテンツ制作を掘り下げていき、高品質なコンテンツの普及に対する意識を強化し、ストーリー内容を作成する必要があります。異文化共鳴を促進し、創造的なコミュニケーションパターンを開拓し、中国の価値観を伝える主題を見つけ、国内外の視聴者との感情的なつながりを深め、中国の物語を伝える機会としてのマイクロ短編ドラマの内容表現と芸術的魅力を強化します。 

（四）中国マイクロ短編ドラマは海外へ進出

iiMedia Researchのネチズン調査によると、中国の海外マイクロ短編ドラマ市場の発展を促進するのは市場の選択だと述べており、ネットユーザーの80％が中国の海外マイクロ短編ドラマ市場の将来については楽観的であると述べています。さらに、 iiMedia Consultingのアナリストは、世界中ショートビデオ市場の隆盛に伴い、一部の中国のマイクロ短編ドラマ会社が作品を海外市場に拡大し、マイクロ短編ドラマの海外進出の可能性が徐々に現れてきたと考えています。

海外のマイクロ短編ドラマ市場で人気となった短編ドラマは霸総（格好良くて傲慢なCEOという人物設定）、復讐、ロマンスなどの「カッコよさ」を主題にしたものが多く、視聴者の美意識や文化的背景に合わせて、ローカライズされ調整されています。例えば、海外市場ではヨーロッパやアメリカの視聴者が狼男や吸血鬼などの超自然的なテーマに興味があり、東南アジアの視聴者はサドマゾヒズムや裕福な家族の争いなどのテーマを好みます。そのなか、海外の中国のマイクロ短編ドラマの作成は、質の高い核を持ち、ストーリー性のあるモノを提供しています。

また、中国制作の海外マイクロ短編ドラマを観た人のうち、女性の割合が62.87％と比較的高く、また34歳以下が7割近くを占めており、25歳から34歳に集中しているとわかりました。 iiMedia Consulting のアナリストは、オンラインのマイクロ短編ドラマは、露出チャネルや内容、及び主題の特性により、若者の間で広く普及しやすく、女性を主題にした作品の開発の余地がまだあるではないかと考えています。

iiMedia Research のデータによると、 中国制作の海外マイクロ短編ドラマを見たことがある、または見たことがあると答えた中国ユーザーは95.1 %います。つまり、80% 近くの中国ネチズンが中国制作の海外マイクロ短編ドラマに関連するニュースや政策に注目したことがあります。 iiMedia Consulting のアナリストは、マイクロ短編ドラマは人気のエンターテイメント形式になっており、中国国内の視聴者も海外視聴者と同じような、マイクロ短編ドラマに対して消費する可能性があると考えています。

調査データによると、世界中のユーザーのエンターテインメントに対する支払意欲はますます増加していくとみられ、将来的にエンターテインメントサービスへ支払意欲のあるユーザーは既存ユーザーの割合を上回ると考えられます。そのため、海外市場のマイクロ短編ドラマの競争力が高まり、コンテンツ制作と品質を向上させるのがこれからの課題であろう。ところで、インターネットの規制は国によって大きく異なっているため、マイクロ短編ドラマ産業はデジタル経済の発展のモデルの一つである。デジタル経済の標準化と監査は、国民の権利と利益を保護し、デジタル経済の健全かつ秩序的な発展を促進するための本質的な要件である。つまり、制作会社はコンテンツを海外に輸出する前に、関連するコンプライアンスを深く理解する必要があります。

（五）中国マイクロ短編ドラマにおける今後の発展

オンラインマイクロ短編ドラマ市場の主な収益方法には、トラフィックシェアリング、プラットフォームの購入、ブランドのカスタマイズ、広告配信と電子商取引の販売などがあります。トラフィックの分割は、各プラットフォームのマイクロ短編ドラマが主に採用されている今のビジネスモデルであるが、各プラットフォームの分割方法と料金の請求方法は比較的複雑で、各社によって方法と割合も異なっています。

また、調査データによると、COLグループ（中文在線集団股分有限公司）の総資産と営業利益は全体的に増加傾向を示しており、2023年の営業利益は前年比19.41%増加の14.1億元となる見込みです。 iiMedia Consultingのアナリストは、中国のエンターテインメント商品が海外に進出する傾向のもとで、COLグループはエンターテインメント商品を海外に進出させ、AIGCの高品質な開発への変革を統合する、新たな文化娯楽の形態を模索していると考えられます。

そして、マイクロ短編ドラマの発展のほか、短編ドラマはゲームとAIを組み合わせることで、新たなコンセプトを創造し、新たなビジネスモデルは長期的に持続可能かどうかについてはまだ結論出せないと iiMedia のアナリストが指摘しました。しかしながら、イノベーションという点から見てみると、マイクロ短編ドラマとゲームの組み合わせは、人々の「人間性」を掘り出しています。例えば、短編ドラマは実際の人間性における貪欲さ、脆弱さなどといったテーマを抽出し、ストーリーの要素としてコンテンツを制作しています。中国市場で検証した結果として人気を集めています。それに基づいて、海外でもそのようなコンテンツも大きな市場を持つはずだと考えられますが、制作会社は自らに合った内容、運営、ビジネスモデルを模索してから、海外市場でも成功を果たす可能性を表すといえよう。

特に、チャウ・シンチーやウォン・ジンなどの有名な監督もマイクロ短編ドラマ業界に入り、ドラマ制作にも関わり始めました。有名なプロの撮影チームの参入によって、マイクロ短編ドラマ業界は徐々に高品質の作品を創出し、長期的に価値のある発展を求めることを示しており、競争力もさらに激しくなるはずです。

まとめ

マイクロ短編ドラマというフォーマットは、マイクロ短編ドラマは新たな文化媒体となり、優れたドラマによって形成される文化・観光宣伝効果は計り知れません。短編ドラマとゲームの間には、ユーザーの体験、IPの連携、主題とストーリー内容との連携などが形成され、映画やテレビ、ゲーム、文化観光などの産業が相互に促進・発展し、新たな消費空間を共同で活性化することができると考えられます。

海外進出は、中国の映画・テレビ会社に中国のマイクロ短編ドラマのさらなる可能性と発展の方向性をもたらします。中国の価値観を伝える主題を見つけ、国内外の視聴者とのつながりを深めていきます。今後のマイクロ短編ドラマの海外市場開拓に向けて、質の高いドラマを制作するための重要なステップである。

参考資料：

艾媒咨询｜2024-2025年中国微短剧市场及出海市场分析报告

艾媒观点集锦 | 微短剧行业专场：短剧市场规模正在追赶电影？