中国の青年報社社会調査センターがこの度実施したアンケートによると、若者への「自身の表現能力に変化を感じるか」という質問に対し、53.3%が「自身の表現応力が低下していると感じる」と回答した。その要因と今後の変化について、本記事を簡単に説明いたします。
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UnsplashのRobsが撮影した写真
AIの進化、ネット社会普及の弊害
中国の青年報社社会調査センターがこの度実施したアンケートによると、若者への「自身の表現能力に変化を感じるか」という質問に対し、53.3%が「自身の表現応力が低下していると感じる」と回答した。
このアンケートでは若者の最近の表現力や語彙力の低下についての聞き取りがおこなわれており、全体の47.1%が「語彙力が低く、表現が単純になっている」と仕事中に感じたことがある、と回答している。
UnsplashのHeadwayが撮影した写真
語彙力低下の大きな要因
アンケート内で若者の表現力・語彙力低下の主な要因として挙げられているのが若者の読書離れである。
これは多くの国で起きている現象であるが、中国でもここ数年で問題視されている。
その他の要因として挙げられているのがチャットで多用される絵文字である。
チャット文化は中国でも根強く、例えば日本では業務やお客様とのやり取りは基本的にチャットはあまり使用されないと思うが、中国では公私ともにチャット使用が大部分を占める。
このような状況下において、若者は言葉でなく、絵文字で自身の言いたいことや感情を表現することが多くなっている。
絵文字を使用した方がスピーディ且つ簡単に自分の気持ちを伝えられると感じているそうで、このようなチャット文化も直接の会話機会を減少させ、若者の表現力、語彙力低下にも影響していると見られている。
UnsplashのJason Leungが撮影した写真
AIの進化による表現力の変化
また、アンケートでは近年のAIの進化が人の表現力に及ぼす影響についても挙げている。
AI機器の普及が自信の表現力に対し影響すると思うか、というアンケートには20%が「とても心配している」、52.6%が「少し心配している」と回答しており7割以上の人が何らかの懸念を持っている。
ChatGPTを代表とするAIは情報へのアクセスやデータ整理だけでなく、文章作成まで対応できる。このようなAIツールに依存して生きることになる若者にとっては便利さを提供するツール、という面だけでなく、
思考や問題への探究機会を減少させる負の面を感じているという。
現段階では人間的な感情や価値観、創造性に欠けているAIに依存することで人の表現力まで同一化されるのでは、という心配につながっているそうだ。
UnsplashのSteve Johnsonが撮影した写真
まとめ
この調査では「言語の貧困化は精神の貧困によってもたらされる」と語っている。
現在の若者が目まぐるしく忙しい生活や、スピーディーな変化にさらされるていることで、深く思考する時間が失われることになったことが大きな原因につながっている様だ。
この様なデジタル社会に生きる現在の中国の若者たちは一見便利さを享受している様に見えるものの、アンケートに見られるようにデジタル社会への依存が自身に及ぼす影響にも人一倍敏感になっているようだ。
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