中国EC┃拼多多、淘宝、京東の間:「価格・サービス・技術の戦い」

中国EC┃拼多多、淘宝、京東の間:「価格・サービス・技術の戦い」

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本文は、淘宝、京東、拼多多――中国の主要なECプラットフォームが、価格競争、サービス革新、AI技術の導入などで競り合う様子を解説しました。競争の二面性を探りながら、ユーザー、商家、プラットフォームの観点から中国EC業界の変遷を描き出します。catalyst-crossing編集部が中国現地メディアの記事を日本語でお伝えします。

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近年以来、技術進歩と消費者の習慣の転換に伴い、EC業界における競争の基盤と形式はますます多様化し、各大手プラットフォームは競争力の向上のために、経営戦略への革新・調整が継続的に行われています。現在、既に成熟したEC業界における各企業は、特定分野を狙い、独自の優位性を得ようとしています。

EC市場の競争は急速に変化しており、この変化は特に価格戦略、顧客体験、技術革新などのいくつかの重要な側面に集中しています。この背景の下で、国内最大手のECプラットフォームである淘宝、京东、拼多多3社は、価格、サービス、AI技術などの面で2023年に激しい競争を展開しました。

低価格主義

販売商品の価格問題は、長い間EC業界の発展に横たわっており、特に近年は「低価格」が消費者の要求からECのKPI(主要業績評価指標)に変わった後、各大手ECプラットフォームの間で顧客への「补贴」(補助金)や支援に関する「価格戦争」がますます盛んになっています。淘宝、京東、拼多多は価格問題に関しても例外ではなく、厳しい競争を繰り広げています。「全网最低价」(最安価)を競うために、自社の利点を活かして、それぞれの戦略を展開しています。

淘宝は、トラフィックの分配メカニズムと製品の運営指向を活用し、消費者により高い性能とコストパフォーマンスの良い商品を提供しています。淘宝は、先進的なアルゴリズムを用いて、ユーザーの閲覧履歴、購買履歴、検索習慣などのデータを分析し、個別の商品推薦を行うことで、消費者が合理的で需要に適った商品を見つけるのを助けています。また、淘宝のオープンプラットフォーム戦略はより多くの出店者を引き付け、評価システムは出店者の信用を評価できるため、消費者を引き付けると同時に、自社の評判も高めています。これにより、商品販売者は自身のサービスを改善し、より一層コストパフォーマンスの高い商品を提供することにも寄与しています。

京東は「百亿补贴」(お客さんに100億元の価格補助金を提供するイベント)やさまざまな販売キャンペーンを活用し、消費者に最もシンプルで直接的な低価格の商品を購入でき、消費体験の更なる向上を努めています。安価の商品でより多くの消費者を引き付け、維持するために、京東は昨年3月から「百亿补贴」のイベントを開始しました。その上、去年の「618」(6月18日)京東の補助金は過去よりもはるかに大きかったです。京東の618キャンペーン期間中、全商品の価格が直接削減された上、ユーザーは毎日「200元割引券を20元で提供」の機会もあり、一部の特別商品を除いて全商品が使用可能でした。これらの戦略の実施により、京東は大規模な販売を実現するだけでなく、さらに市場シェアを拡大しました。

拼多多は「低価」のビジネスモデルと供給チェーンの利点を活かして、消費者の価格競争力をさらに向上させることが達成しました。拼多多は生まれてから低価格で市場シェアを獲得することを目指しており、拼多多は価格を中心に据えたビジネスシステムを構築し、同様の商品の販売業者を選別し、最高のコストパフォーマンスの商品をフロントエンドに展示し、販売するために、多くの価格への関心の高いユーザーを引き付けています。また、拼多多はC2M(Customer to Manufacturer)モデルを通じて消費者と製造業者を直接結びつけ、伝統的な供給チェーンを短縮し、中間業者が差額を取らなく、「全ネット最低価格」が多くの下位市場のユーザーの支持を獲得しました。

サービス最優先

EC業界の発展とともに、消費者は商品の価格に重点を置く一方で、サービスも同様に重要視されています。淘宝、京东、拼多多が国内および世界のEC業界でますます重要な役割を果たすようになるにつれて、ECサービス分野での競争も独自の戦略を展開しています。

淘宝は、多様で便利なオンラインショッピング体験を提供するために「お客様保護体制」を構築・整備しました。2023年、淘宝は消費者の権利を重視し、プラットフォームの発展を促進するためにいくつかのサービス対策を提案しました。たとえば、淘宝は「お客様保護体制」を整備し、7日間の返品・交換、偽物1件賠償などのサービスを導入しました。また、ユーザー評価システムや「仅退款」(返品不要の払い戻しオプション)などの返品・払い戻しサービスなどを提供することで、ユーザーのロイヤルティを高め、リピート率を向上させています。

京东は物流サービスを強化し、より迅速な配送サービスと優れたアフターサポートを提供しています。京东のサービス優位性は常に自社の物流システムに体現されており、2023年には、信頼性の高い・配達日数の短い物流サービスだけでなく、迅速な配送や高品質なアフターサポートも提供しています。京东の迅速な返品・交換サービス、出張修理などの専門的なアフターサービスは、消費者の権利を保証するだけでなく、導入された「仅退款」サービスによって消費者の権利がさらに保護されることもあります。

拼多多は顧客サービスを最適化し、買い物の敷居を下げ、消費者の買い物体験を向上させています。拼多多は「仅退款」サービスを最初に導入したECプラットフォームであり、アフターサービスにも取り組んでいます。特にお客様の買い物体験に関しては、拼多多は「消費者保護基金」を設立し、プラットフォームで販売している商品の品質を監視しています。また、拼多多はプラットフォームのインタラクティブな性質を通じて、ユーザーにショッピング体験を共有するよう奨励し、間接的に顧客サービス体験を向上させています。

AI(人工知能)が「AI+電子商取引」時代の到来に伴い、AIは各大手の電子商取引プラットフォームにとって、ユーザーエクスペリエンスの向上やビジネスエコシステムの繁栄を確保するための重要なツールとなっています。AIの適用が徐々にEC業界のトレンドとなるにつれて、「ECとAI」の深い統合は、業界全体に新たな発展の機会をもたらしています。この背景の下で、淘宝、京东、拼多多は、AI技術、AI製品、AIサービス、AI体験などの面で、それぞれ独自の利点や特色を示し始めています。

淘宝は、AI技術を活用し、自社のECシステムをアップグレードし、運営効率と管理水準をさらに向上させました。淘宝は、AI一键開店、AI新製品、AIデータ分析などのAIツールやサービスのシリーズを発表し、商家がより効率的かつ低コストで店舗経営を行えるよう支援しています。また、淘宝は「淘宝问问」という大型ネイティブAIアプリを内部テストしており、個別の推薦を通じてユーザーのショッピング体験を向上させることを目指しています。淘宝の大規模な生成系AI能力の開放や、AIビジネスエコシステムの育成は、顧客への個別の推薦能力をさらに強化し、インテリジェントアルゴリズムを最適化も達成しました。

京東は、AI技術で「スマート物流システム」を再構築し、サービス品質を向上し、ユーザーエクスペリエンスを改善しました。京東のAIの展開でも遅れを取っておらず、「ダブル11」イベント開始から10分後、京東クラウドのスマートカスタマーサービスは累計で188万回以上の問い合わせを受け付けました。AIスマートカスタマーサービス「京小智」を全面的に採用するだけでなく、京东は自動化された物流にも注力しています。京東は現在、AI技術の適用により、スマートな倉庫管理や無人配送などの分野で顕著な成果を上げています。京东は、「NeuHub」というAIオープンプラットフォームを構築し、商家がスマートサプライチェーンを提供し、製造から出荷までの期間を効果的に短縮できるよう支援しています。

拼多多は、AI技術を活用してショッピングプロセスを最適化し、より便利でスマートなショッピング体験をユーザーに提供しました。拼多多の市場価値がアリババ社を超える理由の1つは、「EC+AI」の新しいビジネスモデルです。さらに、拼多多はAI技術を活用して、「仅退款」サービスに革新をもたらしました。拼多多の「仅退款」サービスは、消費者が条件を満たす場合に商品を返品する必要なく申請できる仕組みです。この政策の導入により、アフターサービスプロセスが簡素化されるだけでなく、消費者により便利で個別化されたショッピング体験が提供されています。

競争の二面性

技術の進歩や市場の変化に伴い、淘宝、京東、拼多多は価格、サービス品質、AIの適用などの面で探求や最適化を継続しています。これにより、ECプラットフォーム間の競争はますます激しくなりました。しかし、否定できないのは、このような競争には積極的な側面もあるということです。インターネットに関わる業界全体の視点から見ると、各ECプラットフォーム間の競争は必ずしも悪いことではありません。

ユーザーにとって、競争はより多くの良質な商品やサービスをもたらし、ユーザーエクスペリエンスを著しく向上させます。各ECプラットフォーム間の競争は、消費者のショッピング体験と直接的な利益に関わるものです。ECプラットフォームが主導権を握ると、ユーザーエクスペリエンスは多かれ少なかれ低下しますが、ECプラットフォーム間で激しい競争が続く場合、ユーザーを引き付け、維持するために、一般的にショッピングプロセスの最適化、個別化された推薦の提供、顧客サービスの強化などの措置が取られます。これは、ユーザーの体験をある程度向上させるだけでなく、ユーザーが問題に遭遇することを効果的に回避できます。

商家にとって、競争は商家に割引など多くの支援を提供し、コストの削減、売上の増加にも繋がっています。各ECプラットフォーム間の競争が存在すると、商家は多くの利益を得ることができます。商品の多様性と選択の差別化が、ECプラットフォームでのユーザーロイヤルティーの維持と見込み客の転換において重要な要素であることはよく知られています。これを満たすことができる商家だけが、ECプラットフォームの「争奪戦」のカギとなります。出店者を引き付け、留めるために、プラットフォームは通常、取引手数料の削減、データ分析ツールの提供、トラフィックの増加など、さまざまな優遇政策やツールを提供します。

プラットフォームにとって、競争はECプラットフォームの技術とサービスを更新し、業界全体の発展に寄与することです。各プラットフォーム間の競争が存在すればこそ、これらのプラットフォームは「生存圧力」を感じ、積極的にイノベーションを起こします。たとえば、物流は、以前は多くの宅配業者が玄関までの配達を行っていませんでしたが、一度あるプラットフォームが玄関までの配達サービスを提供すると、他のプラットフォームはユーザーに放棄されないように、このサービスを自発的に追加または改善するようになります。このような競争の背景の中、各ECプラットフォームの運営効率が向上するだけでなく、EC業界全体の発展も促進されます。

総合的に見ると、淘宝、京東、拼多多の各プラットフォームは、それぞれ独自の競争上の利点や戦略的重点を持ち、プラットフォームの革新、エクスペリエンスの向上、サービスの最適化などについて調整や改善を続けています。将来には、EC業界の環境の急速な変化に伴い、これらの主要企業もさらに多くの面で新たな探索を行う見込みです。現在、これらの3つのプラットフォームは、EC分野でより激しい競争を続けていますが、最終的に、どれがこの競争の中で持続的にリードすることができるのは、おそらく時間が答えを与える唯一のものです。

元記事:拼多多、淘宝、京东:拼低价、卷服务、强技术

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